UN-GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)
/ゆーえぬじーえいちえす(かがくひんのぶんるいおよびひょうじにかんするせかいちょうわしすてむ)
化学品の危険有害性を世界的に統一された基準によって分類しその結果を統一的なラベルやSDSによって提示することにより、化学品の効率的な管理や安全/適正な取り扱いを促進するための枠組み。2003年7月に国連勧告として採択された後、化学品の分類および表示に関する世界調和システムに関する専門家小委員会(GHS小委員会)によって継続的に見直しが行われている。 GHSに定められる危険有害性の判定基準は、化学物質の有害性に基づく分類を行う際の標準的な基準として一般的に用いられている。
UFP
/ゆーえふぴー
⇒「ナノ粒子」を参照
有害液体物質
/ゆうがいえきたいぶっしつ
船舶で輸送する化学物質について、マルポール条約附属書IIに基づき「海洋に排出された場合における海洋資源又は人の健康」の評価が行われ、「有害である」と判断された物質のこと。評価対象となった化学物質は、その有害性に応じて、X類物質(重大な危険を及ぼす物質)・Y類物質(危険を及ぼす物質)・Z類物質(軽微な危険を及ぼす物質)という3種類の有害液体物質と「有害でない物質」に区分され、当該区分に応じたタンク洗浄方法や海洋への排出方法等の規定に基づき排出等の処理が行われる。
なお、マルポール条約附属書IIは批准した国の内航及び外航船舶に適用され、我が国においても海防法において同様の内容が規定されている。現在、X類物質が81物質、Y類物質が464物質、Z類物質が160物質指定されており(2018年4月 現在)、新たな化学物質の評価が行われる度に、適宜追加されている。
有害性
/ゆうがいせい
人や生態系がその化学物質に曝露された場合に発現すると見込まれる悪影響の程度のことであり、ハザードと呼ばれることもある。有害性には「急性毒性」や「発がん性」など多くの種類があり、それらの試験結果などのデータも数多く存在しているが、信頼性に欠けるデータも存在しているとの指摘もある。
有害性評価値
/ゆうがいせいひょうかち
有害大気汚染物質のうちのA分類物質について、その物質ごとの有害性を評価するために定義された指標のこと。具体的には、国内外の機関において設定された大気環境基準値、吸入ユニットリスクに基づく10-5過剰発がんリスク相当濃度等に基づき、値の信頼性などを勘案して物質ごとに設定される。
有害大気汚染物質
/ゆうがいたいきおせんぶっしつ
大気汚染の原因となる化学物質で、人に対する長期毒性(慢性毒性)を有する物質として大気汚染防止法に基づいて定義された物質のこと。有害大気汚染物質及び優先取組物質の指定は、中央環境審議会の答申「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について」として示されている。第二次答申(平成8年)では、全234物質、優先取組物質22物質、第九次答申(平成22年)では、全248物質、優先取組物質23物質が選定されている。
但し、これらの答申の中では「有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リスト」として物質名が列記されているのに過ぎず、これらの物質は大気汚染防止法の第2条第13項に規定された有害大気汚染物質に該当するものと断定的に示されたものでははく、法令の中で物質名が列記されたものは存在していない。
有害水バラスト処理設備
/ゆうがいみずばらすとしょりせつび
⇒「バラスト水処理システム」を参照
有害物質 (※水濁法における有害物質について)
/ゆうがいぶっしつ
水質汚濁防止法第2条第2項第1号に規定するカドミウム等の物質のことで、人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるため、排水規制や「事故時の措置」の対象となっている。具体的な物質名は、水質汚濁防止法施行令の第2条で列記されており、「カドミウム及びその化合物」や「シアン化合物」などが規定されている。
これらは、水質環境基準(健康項目)の達成を担保するため、それらの基準項目に概ね対応する物質として指定されてきた。そのため、平成21年11月30日に1,4-ジオキサンが公共用水域の水質環境基準(健康項目)に追加されたことなどを受け、水質汚濁防止法施行令も改正され(H24.5.25施行)、1,4-ジオキサン、トランス-1,2-ジクロロエチレン、塩化ビニルモノマーの3物質が新たに有害物質として指定され、全部で28物質となった(トランス-1,2-ジクロロエチレンは既存のシス-1,2-ジクロロエチレンと統合して"1,2-ジクロロエチレン"として「1物質」とカウント)。
有機塩素系化合物
/ゆうきえんそけいかごうぶつ
塩素を含む組成を持つ有機化合物のことで、ジクロロメタンとトリクロロエチレンなどが代表的なものである。脱脂・洗浄効果が高く、金属部品の脱脂洗浄などに幅広く使われるようになったが、発ガン性などの問題があり、近年では敬遠される傾向がある。
土壌汚染の原因となる場合が多く、土壌汚染対策法施行規則の第一種特定有害物質(揮発性有機化合物)に指定されているものは、大半が(ベンゼン以外の11物質すべてが)有機塩素化合物である。
有機顔料
/ゆうきがんりょう
顔料とは、着色のために製品中に混合される粉末(水などに溶けない物質)のことであり、このうち有機化合物を成分とする顔料を有機顔料という。主に塗料、印刷インキ、ゴム製品、プラスチック製品に利用される。
優先取組物質
/ゆうせんとりくみぶっしつ
有害大気汚染物質のうち、健康リスクの程度に基づいて優先的に対策を講じる必要があると考えられる物質のこと。物質の有害性、大気環境濃度及び発生源等に係る体系的で詳細な調査、事業者の排出抑制のための自主的取組等が求められている。平成8年10月の中央環境審議会答申「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第二次答申)」において22物質が選定された後、平成22年10月の第九次答申において見直され、23物質が新たに選定されている。
有害大気汚染物質は大気汚染防止法第2条第13項で定義されているが、優先取組物質には法令による定義はなく、前記の答申の中で示されているものである。
優先評価化学物質
/ゆうせんひょうかかがくぶっしつ
人または生活環境動植物への被害を生ずるおそれがあるかどうかについて、リスク評価を優先的に行う必要があるとされ、化学物質審査規制法の規定に基づいて公示される化学物質のこと。優先評価化学物質を前年度に1t以上製造・輸入した事業者は、製造・輸入実績数量や用途について届出を行わなければならない。
>>> 優先評価化学物質一覧(経済産業省)
油種
/ゆしゅ
油の種類のことを表すが、主に燃料油の種類を指す。例えば自動車用の燃料であれば、レギュラーガソリン、プレミアムガソリン(一般に「ハイオク」と呼ばれるもの)、軽油等があり、油種によって燃料油の成分は異なる。近年では廃食油等から生成されるバイオディーゼル燃料も新たな油種として注目されている。
要監視項目
/ようかんしこうもく
水質汚濁に係る環境基準(健康項目)に準ずるものとして、公共用水域や地下水における存在状況の継続的な監視が必要なものとして指定されたもの(環境省の水・大気環境局長通知にて指定)。公共用水域の場合、現在はアンチモンやクロロホルムなど26項目が指定されている(地下水の場合は、塩化ビニルモノマー等の2物質が環境基準に移行したため24項目のみ)。平成16年3月には、それまで要調査項目であった塩化ビニルモノマー等の5項目が要監視項目へと「昇格」し、そのうち1,4-ジオキサンは、さらに平成21年11月に環境基準(健康項目)に「昇格」するなど、要監視項目は知見の集積に応じて適宜見直しがされている。また要監視項目の大半の項目(クロルニトロフェン(CNP)とニッケル以外)で「水質測定結果を評価する基準の濃度」として指針値が定められている。
また、人の健康とは別に、平成15年には水生生物の保全の観点からも要監視項目が別途設定され、2018年4月現在までに、クロロホルム、フェノール等の6項目が指定されている。
要調査項目
/ようちょうさこうもく
水質汚濁に係る要監視項目に準ずるものとして、水環境リスクは高くない(又は不明である)が、人の健康や生態系への悪影響の未然防止の観点から、知見の集積が必要な物質(又は物質群;以下同様)として、平成10年に300項目が指定された。その後、科学的知見の蓄積などの動向を踏まえ、平成26年に新たに208項目を指定した。これらの要調査項目は、環境基準項目や要監視項目のように都道府県による常時監視の対象とはなっていないが、水環境中での存在状況について国によるモニタリング調査の対象とされている。
>>> 要調査項目リスト(報道発表資料)
揚程
/ようてい
揚水機(ポンプ)が水を揚げる高さ(m)、すなわち、吸込み水面から吐出し水面までの高さをいう。
用途
/ようと
化学物質などの「使われ方」のこと。用途の表現方法には、化学物質などの機能に基づく表現(例:可塑剤、界面活性剤)と、化学物質(又はそれを含む資材)などの使用目的(例:塗料、工業用洗浄剤)に基づく表現が存在している。 化学物質審査規制法 による用途情報の届出は、この機能と使用目的を適切に組み合わせることによって行われることになった(優先評価化学物質等については、「詳細用途分類」の届出が必要)。
溶融スラグ
/ようゆうすらぐ
一般廃棄物や下水汚泥の焼却灰等を1200℃以上の高温で溶融し、冷却固化させた黒色のガラス粒状物質のこと。石や砂に近い性質を持ち、土木資材などに再利用されている。高温で溶融することで焼却灰等に含まれる低沸点重金属(鉛やカドミウムなど)は揮発し、ダイオキシン類が分解されて無害化される。焼却灰等を溶融スラグ化して再利用することは最終処分場の延命化に繋がる。
溶融炉
/ようゆうろ
焼却灰などを1200℃以上の高温で溶かしたのち、冷却固化して「溶融スラグ(黒色のガラス粒状物質)」にする施設。
予備洗浄
/よびせんじょう
ばら積み液体貨物を荷卸しした後に、荷卸しをした港を離れる前に当該貨物が積載されていた貨物タンクを要件に従い洗浄する作業のこと。マルポール条約附属書Ⅱ第13規則において、X類の有害液体物質等、環境リスクが高い物質を対象として実施することが定められており、具体的な方法は、同附属書付録6(予備洗浄方法)に詳細に定められている。なお、海防法では、第九条の二第3項の「事前処理の方法」の一部として定められている。