MEPC
/えむいーぴーしー
⇒「海洋環境保護委員会」を参照
汚染防止・対応小委員会(PPR)
/おせんぼうし・たいおうしょういいんかい(ぴーぴーあーる)
Sub-Committee on Pollution Prevention and Responseの略称。国際海事機関(IMO)の委員会(MEPC等)に付属する小委員会の一つであり、委員会の指示に従い、船舶による海洋環境の汚染の防止・規制等に係る技術面・運用面の問題等について検討を行っている。マルポール条約や船舶バラスト水規制管理条約等の海洋環境に関する国際条約や、それらに関連するガイドライン等の運用・見直しに係る検討を行っており、作業部会において新たに申請された有害液体物質の評価も行っている。 なお、IMOでは2014年に小委員会が再編され、PPR小委員会は、再編前のばら積み液体・気体(BLG)小委員会における審議事項について主に検討することとされた。
海防法施行令
/かいぼうほうしこうれい
海洋汚染防止法(海防法)
/かいようおせんぼうしほう(かいぼうほう)
正式には「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」といい、船舶等による海洋汚染や海上災害の防止を目的とする法律。マルポール条約で油や有害液体物質による汚染防止等が規定されており、それらを担保した国内法として位置づけられている。
海洋環境保護委員会(MEPC)
/かいようかんきょうほごいいんかい(えむいーぴーしー)
Marine Environment Protection Committeeの略称。国際海事機関(IMO)の全加盟国から構成される委員会の一つであり、船舶による海洋環境の汚染の防止・規制等について検討を行っている。特に、マルポール条約や船舶バラスト水規制管理条約等の海洋環境に関する国際条約や、それらに関連するガイドライン等の策定・改定に係る検討を行っている。
化学物質管理指針
/かがくぶっしつかんりししん
事業者による合理的な化学物質管理を促進するための指針として、化学物質排出把握管理促進法に基づき策定されたもの。PRTR制度などと異なり、化学物質管理指針は取組が求められる事業者が実質的に限定されていないため、中小零細企業も含めた幅広い事業者による取組の必要性が謳われている。
同指針においては、工程別に取り組むべき事項などが示されているものの、その内容が抽象的であることに加え、その根拠となる化学物質排出把握管理促進法では「化学物質管理指針に留意」した取組を求めているのに過ぎず、実効性を疑問視する指摘もある。
化学物質審査規制法 (化審法)
/かがくぶっしつしんさきせいほう (かしんほう)
正式には「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」といい、新たに製造・輸入する化学物質等の人や動植物に対する有害性を審査し、一定の化学物質の製造・輸入などを規制するための法律。我が国ではPCB汚染を契機として、世界に先駆けて1973年に化学物質の事前審査の仕組みとして化審法が制定された。
既存化学物質については、曝露性や有害性に基づき国によりリスク評価が実施される仕組みとなっており、最初のスクリーニングにより人や動植物への影響の可能性が考えられる物質(優先評価化学物質)について、さらに詳細なリスク評価が実施されることとなっている。
化学物質排出把握管理促進法 (化管法)
/かがくぶっしつはいしゅつはあくかんりそくしんほう (かかんほう)
正式には「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」といい、我が国にPRTR制度を本格導入することを主目的に制定された法律のこと。PRTR制度のほか、SDS制度や化学物質管理指針についての規定が柱となっている。
PRTRパイロット事業の経験を踏まえて制度設計され、法施行から約7年後に法制度の見直しが検討された結果、法律自体の改正は行わず、政令(化管法施行令)や省令(化管法施行規則)を改正することとなり、その新たな枠組みでPRTR制度等が開始された(概ね平成23年度から本格的に開始)。
化学物質審査規制法(化審法)と並び、環境リスクに基づく化学物質管理を促進するための基本的な法律と位置づけられる。
化管法施行規則
/かかんほうしこうきそく
正式には「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律施行規則」という。化管法に基づくPRTRの届出に必要な事項などを規定している。
化管法見直しの一環として化管法施行規則も一部改定され、PRTRの届出事項として「廃棄物の種類」などを追加する形で平成22年4月1日に公布(即日施行)された。
化管法施行令
/かかんほうしこうれい
正式には「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律施行令」という。化管法に基づくPRTR制度の対象業種や対象化学物質などを規定している。
化管法見直しの一環として化管法施行令も一部改定され、第一種指定化学物質及び第二種指定化学物質を見直すと共に、医療業をPRTRの届出対象業種に追加した形に改められ、平成20年11月21日に公布(平成21年10月1日から順次施行)された。
化管法見直し
/かかんほうみなおし
化管法の附則第三条で謳われた見直し規定に従い、平成18年11月の中央環境審議会への答申から始まった一連の検討と、それを踏まえたPRTR制度の枠組みの見直しのこと。中央環境審議会からの答申に基づき、化管法自体の改正は行わず、政省令の改正や法律の運用の見直しで対応することとなり、具体的には「(1)PRTR対象化学物質の見直し」、「(2)PRTRの届出対象業種に医療業を追加」、「(3)PRTRの届出事項に廃棄物の処分方法等を追加」、「(4)事業所ごとのPRTR届出データを実質的な公表に変更」などが行われた。
環境基本法
/かんきょうきほんほう
我が国における環境保全の基本理念や主体別(国、自治体、事業者、国民)の責務、環境施策の基本的な事項を定める法律であり、国が環境政策を推進するための基礎となる法律と位置づけられる。政府が媒体別(大気、水質、土壌等)の環境基準を定めることは、この環境基本法の第16条で規定されている。
建築物用地下水の採取の規制に関する法律
/けんちくぶつようちかすいのさいしゅのきせいにかんするほうりつ
政令で指定された地域(大阪府、東京都、埼玉県、千葉県の一部地域)内において、建築物用地下水の採取による地盤沈下を防止し、国民の生命及び財産の保護を図り、公共の福祉に寄与することを目的として昭和37年に制定された法律のこと(昭和37年制定、平成12年最終改正)。
政令で指定された地域を対象に、建築物用水(冷房、暖房、水洗便所、自動車の洗車)への利用を目的として地下水を採取する場合には、都道府県知事又は指定都市の長の許可(許可基準項目:ストレーナ位置及び揚水機の吐出口断面積)が必要であり、無許可で地下水を採取し建築物用水として利用したり、都道府県知事の命令に違反したりした場合には、罰則が適用される。
所管は、環境省である。
工業用水法
/こうぎょうようすいほう
特定の地域を対象に、工業用水の合理的な供給を確保し、地下水の保全を図り、地盤の沈下の進行を防止することを目的として、昭和31年に制定された法令(平成12年最終改正)。この法律の対象となる地域は同法第三条により「指定地域」として定義され、具体的には工業用水法施行令により10府県の17地域が指定されている。
地下水を採取し、工業目的に使用する場合には、都道府県知事の許可(許可基準項目:ストレーナ位置及び揚水機の吐出口断面積)が必要であり、無許可で工業目的に地下水を採取したり、都道府県知事の命令に違反したりした場合には、罰則が適用される。
この法令において「工業」とは、製造業、電気供給業、ガス供給業及び熱供給業をいう。
国際海上固体ばら積み貨物コード(IMSBCコード)
/こくさいかいじょうこたいばらづみかもつこーど(あいえむえすびーしーこーど)
International Maritime Solid Bulk Cargoes のこと。船舶による固体ばら積み貨物(穀物を除く。)の安全な輸送を推進することを目的として、貨物の危険性に関する情報の提供や評価方法、輸送方法等を定める規則である(なお、穀物の輸送については、ばら積み穀類の安全運送に関する国際規則(1991年の国際穀類規則)に定められている)。IMSBCコードでは、荷送人が船長に対し、貨物の性質に関する詳細な情報を提供することが義務づけられている。また、固体ばら積み貨物を海上輸送する際には、「種別A」(液状化するおそれのある物質)、「種別B」(化学的危険性を有する貨物)、または「種別C」(種別A、種別Bのいずれの危険性も有しない貨物)に分類することとされており、特定の貨物については、貨物の種別及びその他の関連情報がIMSBCコードの付録に掲載されている。
事故時の措置
/じこじのそち
施設の故障や破損等の事故が発生した場合、その施設の設置者たる事業者が応急の措置として講ずべき事項などを定めた法律上の規定のこと。同様の規定は、水質汚濁防止法や大気汚染防止法、悪臭防止法、ダイオキシン類対策特別措置法、廃棄物処理法など数多くの法律に含まれている。
平成22年4月28日に成立、同年5月10日に公布された水質汚濁防止法の改正においては、事故時の措置の対象とする化学物質を「指定物質」として、また対象とする施設を「指定施設」として新たに追加するなど、事故時の措置を講ずべき物質と事業場の範囲の拡大が図られた。その「指定物質」の種類は、中央環境審議会からの答申(H23.2.18)に基づき、同年3月1日に水質汚濁防止法施行令にて定められた(ホルムアルデヒドやヒドラジン等の52物質を指定。その後、ヘキサメチレンテトラミンの追加等を経て、H30.4現在で56物質)。また、「指定施設」としては、特定施設のように具体的な施設種類を列挙する方法ではなく、「有害物質や指定物質の製造・貯蔵・使用・処理をする施設」などとして広範な施設が対象となるよう水質汚濁防止法で規定された。
水質汚濁防止法
/すいしつおだくぼうしほう
工場・事業場から公共用水域へ排出される排水に含まれる汚染物質の濃度の基準等を定め、公共用水域等の水質汚濁を防止し、国民の健康の保護などを目的とする法律。同法に基づく(全国共通の)一律排水基準の他、都道府県ごとに地域を指定して排水基準の上乗せをし、(一律基準より厳しい)排水規制を条例で定めることが可能となっている。その他、都道府県による水質の常時監視や、事故時の措置なども同法で規定されている。
水質環境基準
/すいしつかんきょうきじゅん
環境基本法に基づいて指定される環境基準のうち、水質汚濁に係る環境基準の略称。適用される範囲は公共用水域と地下水に分けられ、基準項目は健康項目と生活環境項目に分けられている。
この水質環境基準を遵守するための施策として、水質汚濁防止法に基づく排水規制などが講じられており、その排水規制の項目や許容限度は水質環境基準と連動する形で定められている。
水道水質基準
/すいどうすいしつきじゅん
水道を経由した飲料水の水質を保証するため、水道法第4条に基づく水質基準として規定され、具体的な基準値が「水質基準に関する省令」によって定められているもの。水環境の基準として定められる水質環境基準とは異なるものであり、基準の決め方も同じとは限らないものの、結果的には両者が同じ基準値として設定されている場合が多い。
船舶バラスト水規制管理条約
/せんぱくばらすとすいきせいかんりじょうやく
2004年に採択された「船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約」の通称。細菌、微生物も含めた海洋生物が、バラスト水を介して本来の生息地ではない地域に移動することにより生じる環境への危険等を防止することを目的とした条約(2017年9月8日発効)。
バラスト水中の生物を一定数以下の基準になるよう処理することが現存船も含めた全ての国際間航行をする船舶に義務づけられる。
騒音規制法
/そうおんきせいほう
騒音規制に関する法律であり、特定の工場・事業場における事業活動及び特定の建設工事に伴って発生する騒音を規制し、自動車騒音に関する許容限度を定めている。
都道府県知事等による管内規制地域の指定や特定工場等や特定建設作業に関する届出制度、自動車騒音の許容限度を超えた場合の市町村長の対応、自動車騒音の常時監視事務等に係る事項が定められている。
大気汚染防止法
/たいきおせんぼうしほう
大気汚染を防止して人の健康の保護などを促進するための法律で、工場・事業場からの窒素酸化物等の排出規制や自動車排気ガスの許容限度などが規定されている。平成8年度の改正で有害大気汚染物質に係る取組が追加され、さらに平成16年の改正では揮発性有機化合物(VOC)の排出規制などが追加された。また、平成22年の改正では、ばい煙の測定結果の改ざん等に対する罰則などが新設された。都道府県による大気の汚染の状況の常時監視も、この大気汚染防止法に基づいて実施されている。
大気汚染防止法に基づく常時監視の事務処理基準
(※大気汚染防止法における事務処理基準について)
/たいきおせんぼうしほうにもとづくじょうじかんしのじむしょりきじゅん
正式名称は「大気汚染防止法第22条の規定に基づく大気の汚染の状況の常時監視に関する事務の処理基準」である。地方自治法第245条の9に基づき、平成13年に環境省環境管理局長より各都道府県知事及び政令市長へ通達された。地方公共団体が大気汚染状況の常時監視に関する法定受託事務を処理するに当たりよるべき基準であり、測定局の数や配置、測定方法等について定めている。
電気事業法
/でんきじぎょうほう
電気事業の適切かつ合理的な運用により、電気の使用者の利益の保護や、電気事業の健全な発達を図ること、また、電気工作物の工事・維持・運用の規制により、公共の安全の確保や、環境の保全を図ることを目的とした法律(昭和三十九年法律第百七十号)。国の電力システム改革の3本柱である①広域的な送電線運用の拡大、②小売の全面自由化、③法的分離による送配電部門の中立性の一層の確保を押し進めるため、同法律の改正に係る3つの法律が、平成25年11月13日、平成26年6月11日、平成27年6月17日に成立している。
排ガス基準
/はいがすきじゅん
自動車などの排気ガスの排出量として遵守すべき基準のこと。自動車などの排気ガスは、その走行状態によって汚染物質の濃度や排ガス量が大きく変化するため、通常は自動車などの走行状態に応じた基準値として、試験モード(例:10・15モード、JE05モード)を定めた上で"g/km"や"g/kWh"などの単位で排ガス基準が設定されている。
排ガス規制
/はいがすきせい
主に大気汚染防止法による排出ガス濃度に対する規制のこと。大気汚染防止法では、ボイラー等の固定発生源や自動車等の移動発生源に対する排ガス規制が設けられている。移動発生源の場合、自動車NOx・PM法などでも排ガス規制が行われている。
自動車に対する排ガス規制は窒素酸化物(NOx)や非メタン炭化水素(NMHC)等を対象に設けられ、技術開発の進展等を踏まえ、これまで段階的に規制値が強化されてきた。
排出基準
/はいしゅつきじゅん
環境基準の達成等を目的として、大気汚染防止法や水質汚濁防止法等に基づき、工場等からの排気ガスや排水に含まれる汚染物質の濃度等の許容限度として定められたもの。
例えば、排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)の排出基準は、ボイラーであれば排ガス中のNOx濃度(ppm)として基準値が定められ、自動車であれば走行距離当たりのNOx排出量(g/km)等として基準値が定められている。
排出規制
/はいしゅつきせい
施設の排気口や排水口、自動車の排出ガスについて、その濃度や排出総量について規制することを指す。例えば、大気汚染防止法では、揮発性有機化合物(VOC)について特定の施設の排出口での濃度について規制値を定めている。
BAT規制
/ばっときせい
BATレベルとして設定された濃度等による規制を行うこと。米国では、事業所ごとにBATレベル(排水基準値)が記載された排出許可証が交付され、操業の際は、これを遵守することが厳しく求められる。
BATレベル
/ばっとれべる
工業技術的・経済的に低減可能なレベルのことであり、BATを適用した際に実現される濃度等のこと。化審法の運用通知では、第一種特定化学物質の副生については、その物質による環境汚染を通じた人の健康を損なうおそれがなく、その含有割合がBATレベルまで低減されている場合には、当該副生物を第一種特定化学物質とはみなさないとの記載がある。しかしながら、BATレベルの定義はなく、副生した第一種特定化学物質の存在が確認されるたびに、そのBATレベルを検討している。諸外国では、排ガス濃度などのBATレベルの設定方法について詳細なガイドラインなどが用意されており、一定の拘束力を持つ場合もある。
バラスト水管理条約
/ばらすとすいかんりじょうやく
2004年に採択された「船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約」の通称。細菌、微生物も含めた海洋生物が、バラスト水を介して本来の生息地ではない地域に移動することにより生じる環境への危険等を防止することを目的とした条約(2017年9月8日発効)。
バラスト水中の生物を一定数以下の基準になるよう処理することが現存船も含めた全ての国際間航行をする船舶に義務づけられる。
なお、条約の名称は、海防法では「船舶バラスト水規制管理条約」と表記されている。
バラスト水交換
/ばらすとすいこうかん
船舶のバラスト水を介した生物移入を防止するための手法の一つであり、船舶バラスト水規制管理条約附属書B-4規則に規定されている。外洋においてバラスト水を交換することによって、侵略性の生物種が他国の沿岸域に排出される可能性を低減させる。バラスト水交換は、BWMSを用いるバラスト水管理を補完する手法として位置づけられており、BWMSを搭載するまでの経過措置等として用いられている。バラスト水交換の基準は、同附属書D-1規則において、バラスト水量の95%以上を交換するなど定められている。
PPR
/ぴーぴーあーる
⇒「汚染防止・対応小委員会」を参照
ビル用水法
/びるようすいほう
→ 「建築物用地下水の採取の規制に関する法律」を参照
POPs条約
/ぽっぷすじょうやく
正式名称は、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」。残留性有機汚染化学物質(Persistent Organic Pollutants;略称POPs)とは、難分解性、高蓄積性、長距離移動性を有する人及び生態系に対して有害な化学物質のことである。POPsのうち大気中で蒸発しやすものは、蒸発と雨水による降下を繰り返し世界中へ拡散する(バッタ効果)。また、海洋中では、魚介類への蓄積やイルカ等の大型魚類の移動により汚染が拡大することがある。
POPsによる地球規模の汚染への対策は国際的な協調が不可欠であったため、12種類のPOPsについて製造・使用等を原則禁止する条約として、POPs条約が2001年5月にストックホルムで成立した(2004年5月 発効)。
なお、2009年5月に開催されたPOPs条約の第4回締約国会議(COP4)では、撥水剤(はっすいざい)や泡消火剤に使用されているペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とその塩や農薬のクロルデコン等の9種12物質が新たに同条約の対象(附属書A〜Cに追加掲載)となり、その後さらに、第8回締約国会議(COP8)までにデカブロモジフェニルエーテル(デカBDE)や短鎖塩素化パラフィン(SCCP)等が随時追加されている。
マルポール条約 (MARPOL条約)
/まるぽーるじょうやく
「1973年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する1978年の議定書(International Convention for the Prevention of Pollution from Ships, 1973, as modified by the Protocol of 1978 relating thereto)」の通称。「1954年の油による海水の汚濁の防止に関する国際条約:International Convention for the Prevention of Pollution of the Sea by Oil (OILPOL), 1954」を引き継いだ条約であり、MARINE POLLUTIONの略称。英名では、「MARPOL 73/78」と略称される。
船舶の運行や事故による海洋汚染防止を目的とした条約であり、船舶で輸送する油や化学製品の輸送に係る内容、船舶からの汚水、廃棄物、排ガスに関する内容が附属書I〜附属書VIで規定されている。
我が国は1983年に加入し、当該条約を担保する国内法として「海洋汚染防止法」がある。
マルポール条約附属書Ⅰ
/まるぽーるじょうやくふぞくしょいち
マルポール条約の附属書のうち、油による海洋環境汚染を規制するためのものであり、「油による汚染の規制のための規則」のこと。附属書Ⅰにおいて「油」は、「原油、重油、スラッジ、廃油、精製油その他のあらゆる形態の石油(附属書Ⅱの適用を受ける石油化学物質を除く。)をいい、付録Ⅰに掲げる物質を含むが、これらに限られない。」と定められており、附属書Ⅱの対象(有害液体物質)が附属書Ⅰの対象から除外されているところであるが、近年、IMOにおいて、附属書ⅠとⅡの対象物質の区別が明確でないことが指摘されており、その区別を明確にするための指針作成等の議論が行われている。
マルポール条約附属書II
/まるぽーるじょうやくふぞくしょに
マルポール条約(MARPOL条約)の附属書のうち、ばら積み輸送される液体物質による海洋環境汚染を規制するためのものであり、「ばら積みの有害液体物質による汚染の規制のための規則」のこと。
化学物質の有害性に基づく分類(汚染分類)及びその判定基準を定め、有害液体物質及びそれを含むタンク洗浄水等の海洋への排出を原則禁止するとともに、貨物タンクの洗浄方法や排出基準等を定めている。
なお、この附属書は、原則として、ばら積みの有害液体物質を運送することが認められる全ての船舶に対して適用される。
マルポール条約附属書VI
/まるぽーるじょうやくふぞくしょろく
マルポール条約(MARPOL条約)のうち、船舶からの大気汚染物質等の排出を規制しているのが「附属書VI 船舶からの大気汚染防止のための規則」である。
この附属書では、大気汚染防止を図る手法として、主に次の3つが規定されている。
2.硫黄酸化物や粒子状物質の排出を低減するための燃料中硫黄成分を規制する
燃料規制
3.一般的な海域と比べ、より大気環境への影響が懸念される地域に対して適用される
特別な排出基準・燃料基準等(「大気汚染物質放出規制海域(ECA)」参照)
なお排出基準及び燃料規制はIMOでレビューされ、段階的に強化されてきている。
モントリオール議定書
/もんとりおーるぎていしょ
正式には「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」といい、ウィーン条約に基づいて1987年に採択された。成層圏のオゾン層を破壊する物質と考えられている特定フロンやハロン等の製造や消費を規制し、その削減のスケジュールなどを定めている。我が国も議定書の締約国となっており、それを担保するための国内法としてオゾン層保護法が制定された。
予備洗浄
/よびせんじょう
ばら積み液体貨物を荷卸しした後に、荷卸しをした港を離れる前に当該貨物が積載されていた貨物タンクを要件に従い洗浄する作業のこと。マルポール条約附属書Ⅱ第13規則において、X類の有害液体物質等、環境リスクが高い物質を対象として実施することが定められており、具体的な方法は、同附属書付録6(予備洗浄方法)に詳細に定められている。なお、海防法では、第九条の二第3項の「事前処理の方法」の一部として定められている。