維持管理基準
/いじかんりきじゅん
一般廃棄物焼却施設においては、廃棄物処理法(第八条の三第一項)に基づく、ごみ処理施設の維持管理に関する技術上の基準のこと。具体的には、同法施行規則第四条の五において「ごみの投入は、当該施設の処理能力を超えないように行うこと」など細かく定められている。一般廃棄物処理施設は、施設の維持管理計画及び状況を公表しなければならない。産業廃棄物焼却施設においても同様の維持管理基準が定めらている。
一般廃棄物
/いっぱんはいきぶつ
廃棄物処理法に基づき定義された廃棄物種類の形態であり、産業廃棄物以外のすべての廃棄物が該当する。家庭ごみの他、オフィスビルなどから排出される廃棄物も「事業系一般廃棄物」として一部に含まれる。
産業廃棄物は排出事業者に処理する義務が課せられているが、一般廃棄物は市町村が処理に責任を負うこととなっている(廃棄物処理法第4条第1項)。しがたって、大規模な災害等に伴って発生する災害廃棄物は、事業活動に関係する資材等が廃棄物になった可能性が高い場合であっても、「排出事業者」の特定が困難な場合が多いため、その多くが一般廃棄物として処理されるものと考えられる。
一般廃棄物処理施設
/いっぱんはいきぶつしょりしせつ
廃棄物処理法第8条に基づいて市町村などが設置する施設のことであり、ごみ焼却施設や一般廃棄物の最終処分場などが該当する。ごみ焼却施設の場合、規模の小さな焼却炉(概ね処理能力が1時間当たり200kg未満)は一般廃棄物処理施設に該当しない。
埋立処分量
/うめたてしょぶんりょう
廃棄物の処理のうち、最終処分場への埋立処分として処理される廃棄物の重量のこと。廃掃法に基づく最終処分には、「埋立処分」の他に「海洋投入」や「再生」も含まれているため、最終処分量は埋立処分量と同じではない。
汚泥
/おでい
汚水に含まれていた成分が沈殿して泥状になったものが代表的な汚泥であり、下水処理や工場の排水処理などで生じるものが多い。我が国の産業廃棄物の中で発生量が最大のものが汚泥であるが、浄化槽汚泥などは一般廃棄物に分類される。
一般に、水分を多く含むものであり、そのまま焼却等の処理を行うのは非効率であるため、最初に脱水などの処理を行うことが多い。 例えば、含水率98%の濃縮汚泥を脱水して含水率80%の脱水汚泥にすると、汚泥の重量や容量は10分の1程度に減少する。
広域処理
/こういきしょり
地震等により災害廃棄物が多量に発生し、地域内での処理が困難になった場合に災害発生地域外の自治体や産業廃棄物処理事業者の協力により廃棄物処理を行うこと。東日本大震災によって発生した災害廃棄物は、東京都をはじめ全国各地で広域処理が行われた。
構造基準
/こうぞうきじゅん
一般廃棄物処理施設においては、廃棄物処理法(第六条の二第二項)に基づく、一般廃棄物の焼却設備の構造に関する基準のこと。具体的には、同法施行規則第一条の七において、「800℃以上で廃棄物を焼却できること」や「燃焼に必要な通風が行われること」など、廃棄物の焼却を適切に実施するための5つの基準が定められている。産業廃棄物焼却施設においても同様の構造基準が定めらている。
ごみ焼却施設
/ごみしょうきゃくしせつ
災害廃棄物
/さいがいはいきぶつ
火災、水害、地震、津波等の災害により発生した廃棄物のこと。「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)」の中で「災害廃棄物」という定義は存在していないが、短期間で大量の廃棄物が発生するため、平常時に発生する廃棄物と区別して「災害廃棄物」として扱われることがある。このような災害廃棄物は「事業活動に伴って生じた廃棄物」ではないため一般廃棄物に該当し、市町村が処理責任を負うのが基本である。しかし、東日本大震災では約2000万トンもの災害廃棄物(津波堆積物は除く)が発生したため、特別措置法を制定して国の責務などを定めた。
最終処分場
/さいしゅうしょぶんじょう
廃棄物(一般廃棄物と産業廃棄物)の安定化などを目的として埋立する施設のことであり、すべて都道府県知事の設置許可を要する。埋立処分場などと表現されることもある。
そのうち、産業廃棄物の最終処分場は、埋立可能な廃棄物の種類に応じて「安定型処分場」、「遮断型処分場」、「管理型処分場」に分類される。埋立が終了したあとも、それぞれの廃止基準に適合するまで継続して管理することが必要とされている。
産業廃棄物
/さんぎょうはいきぶつ
廃棄物のうち、主として事業活動に伴って排出され、汚泥や廃油、廃プラスチック類など特定の類型に該当するもの(一部は特定の業種から排出されるものに限られる。)のこと。我が国では1年間に約4億トンの産業廃棄物が排出され、国全体で排出される廃棄物の約9割を占めている。
産業廃棄物処理施設
/さんぎょうはいきぶつしょりしせつ
廃棄物処理法第15条に基づいて産業廃棄物処理業者などが都道府県知事の許可を得て設置する施設のことであり、「廃プラスチック類の焼却施設」や「木くず又はがれき類の破砕施設」などが該当する。汚泥の脱水施設など、その処理能力等によって規模要件が定められたものが多いため、その規模に満たない施設は「産業廃棄物処理施設」には該当せず、設置許可を得る必要がない。これら産業廃棄物処理施設のうち、「汚泥の脱水施設」は産業廃棄物の排出事業者が自ら設置して自己処理を行う場合が多い。
自己中間処理
/じこちゅうかんしょり
産業廃棄物の中間処理のうち、その排出事業者が中間処理を外部委託せず、排出事業者が自ら中間処理を行うこと。汚泥の脱水は特に自己中間処理の割合が大きくなっている。
施設種類
/しせつしゅるい
PRTRの届出外排出量の推計では、推計対象となる廃棄物処理施設を廃掃法等の定義に従って分類し、それらを「施設種類」と呼ぶこととした。産業廃棄物処理施設の場合、具体的には廃掃法第十五条で規定された「廃プラスチック類処理施設」や、同法施行令第七条で規定された「汚泥の脱水施設」などが該当している。施設種類によっては、処理能力の要件を定めているものがあり、 一定規模以上の施設だけが廃棄物処理施設に該当し、 設置許可が必要となる。
焼却施設
/しょうきゃくしせつ
主に可燃ごみ等の廃棄物を、減容量及び無害化を目的として焼却処理するための施設のこと。我が国の中間処理において最も一般的な処理施設であり、特に一般廃棄物は焼却処理される廃棄物が圧倒的に大きな割合を占めている。
焼却灰
/しょうきゃくばい
一般廃棄物処理施設や産業廃棄物処理施設等の焼却炉で廃棄物を焼却処理した際に燃え残った燃え殻のことであり、焼却炉の底などで回収され、主灰とも呼ばれる。焼却炉の排ガスから回収されるばいじんは「飛灰」と呼ばれ、焼却灰とは区別される。
浸出水 (浸出液)
/しんしゅつすい (しんしゅつえき)
最終処分場に降った雨が廃棄物に接触し、その廃棄物に含まれる有害な物質を含んで最終処分場から発生する汚水のこと。「一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令」では、一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場(管理型最終処分場のみ)について、浸出水(浸出液)の汚濁を除去するための処理設備の設置及び維持管理の基準が定められている。
中間処理施設
/ちゅうかんしょりしせつ
廃棄物の処理のうち、最終処分 (例:埋立) に至る前の中間的な処理を行うための施設のこと。脱水施設や焼却施設、破砕施設、中和施設などが代表的なもの。
中間処理施設のうち、廃棄物処理法が規定する一般廃棄物処理施設や産業廃棄物処理施設に該当する施設は、都道府県知事の許可を得ないと設置することができない。
産業廃棄物の中間処理施設は、産業廃棄物処理業者が設置するものに限らず、地方公共団体が設置する施設や、廃棄物の排出事業者が自ら処理するために設置する施設もある。特に汚泥の脱水施設では、そのような排出事業者が自家処理するための「事業者設置」の施設が多く存在している。
中間処理量
/ちゅうかんしょりりょう
廃棄物の処理のうち、最終処分(埋立処分等)を行うための前段階で行われる破砕や焼却などの処理が中間処理であり、その中間処理される廃棄物の重量を中間処理量という。我が国においては、産業廃棄物は年間に約4億トンの排出量があり、このうち中間処理量は約3億トンである。一方、一般廃棄物は例年約4500万トンの排出量に対し約4000万トンが中間処理されているが、東日本大震災では大量の災害廃棄物が発生し、平成24年度は通常の一般廃棄物とは別に1000万トン近い災害廃棄物の中間処理が行われた。
野焼き
/のやき
屋外で廃棄物を焼却すること。我が国では「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」や各自治体が定める条例により原則として禁止されているが、農業残渣の焼却や宗教上の行事等が一部例外行為として認められている。 また、大規模な野焼きによりPM2.5が広域的に高濃度となる事例が報告されている。
廃棄物
/はいきぶつ
廃棄物処理法の第二条第一項で定義されたもので、ごみや燃え殻などの汚物や不要物(気体状のものなどを除く)のこと。廃棄物処理法では一般廃棄物と産業廃棄物に大別されている。廃棄物に対比する用語として、しばしば「有価物」という用語が使われるが、これは例えば事業者間での取引に伴って「引き渡すための対価を受け取ったか否か」によって判断され、廃棄物処理法が適用されるかどうかの判断が分かれることがある。
同じ不要物でも「下水」や「下水汚泥」は下水道法に基づいて処理されるのが一般的であり、基本的に廃棄物には該当しない(廃棄物処理業者に処理を委託した下水汚泥などを除く)。
廃棄物種類
/はいきぶつしゅるい
廃棄物は一般廃棄物と産業廃棄物に大別され、そのうち産業廃棄物については廃掃法第2条第4項及び廃掃法施行令第2条で「燃え殻」や「紙くず」などに分類されている。PRTRの届出外排出量の推計では、このうち産業廃棄物の分類(約20種類)を廃棄物種類と定義し、その種類ごとに中間処理量や化学物質の平均含有率などの推計を試みている。
我が国のPRTR制度においては、化管法施行規則の改正(H22.4.1施行)により、「廃棄物の処理方法」等と共に届出事項に追加された。
廃棄物処理施設
/はいきぶつしょりしせつ
産業廃棄物や一般廃棄物の中間処理やその最終処分を行うための施設のこと。産業廃棄物の中間処理施設であれば、「汚泥の焼却施設」や「廃プラスチック類の破砕施設」などに分類されている。産業廃棄物の中間処理施設は単純合計で全国に約18,700施設(平成26年4月1日現在)があるが、焼却施設等の場合は複数の施設種類の設置許可を同時に得ている場合が少なくないため、正味の施設数は上記の数よりも少ない。
中間処理施設の場合、その多くは一定規模以上の施設(例:汚泥の脱水施設なら、処理能力が1日10立方メートル以上の施設)に限って「廃棄物処理施設」に該当し、それに満たない施設は廃棄物処理法が規定する廃棄物処理施設には該当しない。
廃棄物処理法 (廃掃法)
/はいきぶつしょりほう (はいそうほう)
正式には「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」といい、廃棄物の適正な処理等によって生活環境の保全などを図ることを目的とした法律。廃棄物を一般廃棄物と産業廃棄物に大別していることが大きな特徴で、一般廃棄物と産業廃棄物の適正処理は、それぞれ市町村と事業者(排出事業者)に第一義的な責務があると規定している。1998年からは廃掃法の改正によって産業廃棄物にマニフェスト(産業廃棄物管理票)を添付することが義務づけられ、排出事業者が適正処理の完了を確認することが可能となった。
飛灰
/ひばい
一般廃棄物処理施設や産業廃棄物処理施設等の焼却炉で廃棄物を焼却処理した際、排ガスから回収されるばいじんのこと。焼却炉の底で回収される「焼却灰(主灰)」とは区別される。 一般に飛灰は焼却灰よりもダイオキシン類や重金属を多く含むため、バグフィルタなどで捕集された後、セメント固化や薬剤処理などの溶出防止の処理を行ってから灰ピットに送られる。
溶融スラグ
/ようゆうすらぐ
一般廃棄物や下水汚泥の焼却灰等を1200℃以上の高温で溶融し、冷却固化させた黒色のガラス粒状物質のこと。石や砂に近い性質を持ち、土木資材などに再利用されている。高温で溶融することで焼却灰等に含まれる低沸点重金属(鉛やカドミウムなど)は揮発し、ダイオキシン類が分解されて無害化される。焼却灰等を溶融スラグ化して再利用することは最終処分場の延命化に繋がる。
溶融炉
/ようゆうろ
焼却灰などを1200℃以上の高温で溶かしたのち、冷却固化して「溶融スラグ(黒色のガラス粒状物質)」にする施設。
リサイクル
/りさいくる
従来は廃棄物を再利用することを「リサイクル」と称してきたが、現在では循環型社会における3R(Reduce・Reuse・Recycle)の考え方に基づき、その中の一つとして「再資源化」の意味で使われている。循環型社会の実現に向けた方針として、第一義的に重要なことがReduce(廃棄物の発生抑制)であり、二番目がReuse(再使用)で、Recycle(再資源化)は3Rの中で優先順位が最も低いものと位置づけられた。サーマルリサイクル(熱回収)も3Rの中のRecycleに位置づけられるが、マテリアルリサイクルよりも優先順位が低いものと位置づけられている。