ナノ粒子(超微小粒子状物質/UFP)
/なのりゅうし(ちょうびしょうりゅうしじょうぶっしつ/ゆーえふぴー)
ナノメートル(1メートルの10億分の1)のオーダーの粒子のことである。物質をナノメートルオーダーの粒子にすることで、特有の物性が表れることから、工業材料としての研究が進んでいる。カーボンブラック、二酸化チタンなどは既に大量生産されている工業ナノ粒子の例である。工業的に製造されるもの以外には、自動車等の排出ガス中にも含まれるものや、大気中でVOC等が光化学反応することにより二次生成するものもある。ミクロン(1メートルの100万分の1)サイズの粒子と比較して、肺への影響が大きいことなどが懸念され、生態影響についても研究が進められている。
UFPは、Ultra Fine Particleの略称。
難燃剤
/なんねんざい
樹脂や繊維等、可燃性のある物質を燃焼しにくくする、または大きく燃え広がらないようにする目的で添加される薬剤のこと。火災による人的・経済的損失を防止するため、JIS規格等で要求される難燃性能に合わせて添加される。難燃剤の主な成分には、ハロゲン系やリン系(以上有機難燃剤)、金属水酸化物やアンチモン系(以上無機系難燃剤)、これらの複合がある。また、要求される難燃性能に加え、環境安全面からも、電気電子機器廃棄物指令(WEEE)、有害性化学物質管理指令(RoHS)等の、有害性、発煙性、リサイクル性等で規制されるようになっている。この動きを受け、近年は、環境対応型の難燃剤として、非ハロゲン系のものの開発が進められている。
二酸化硫黄(SO2)
/にさんかいおう
化学式"SO2"で表される無色の気体で腐卵臭がある。我が国では火力発電所、工場や自動車などのほか、船舶からも排出される。毒性としては、せきやたんなどの呼吸器系の疾患を生じさせる。我が国の有名な公害の一つである四日市ぜんそくでは、石油コンビナートから排出される硫黄酸化物が主な原因とされた。これを受け、四日市市での閉塞性呼吸器疾患の新規患者の発生数をその根拠として、大気汚染に係る二酸化硫黄の環境基準が定められた。
低硫黄燃料の普及や脱硫技術の実用化に伴い、我が国の大気中の二酸化硫黄濃度は、環境基準設定当時と比べて非常に低い水準にある。
参考 : 環境の基準 -その科学的背景- (日本化学会編)
二酸化窒素(NO2)
/にさんかちっそ(えぬおーつー)
窒素酸化物(NOx)の一種。常温・常圧で赤褐色の気体であり、主に化石燃料等の燃焼により発生した一酸化窒素が大気環境中で酸化されることにより、副生成物として非意図的に生成する。人の呼吸器系に悪影響を与えることから、環境基本法の規定に基づく告示(昭和48年制定;昭和53年改定)おいて環境基準「1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内又はそれ以下であること」が定められている。
二酸化窒素の短期曝露に係る指針
/にさんかちっそのたんきばくろにかかるししん
中央公害対策審議会長から環境庁長官宛ての昭和53年3月22日付け答申「二酸化窒素の人の健康影響に係る判定基準について」のなかで示された、二酸化窒素濃度の短期曝露に係る指針のこと。1時間曝露を対象としており、人の中枢神経系や肺機能への影響といった人の志願者に対する研究や動物実験等の知見を総合的に判断して、短期曝露に係る指針として0.1〜0.2ppmの値が示された。なお、現行の二酸化窒素に係る環境基準は、「1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内又はそれ以下であること」であるが、昭和53年7月17日付けの環境庁大気保全局長通知「二酸化窒素に係る環境基準の改定について」において、環境基準を維持することでこの二酸化窒素の短期曝露に係る指針をも高い確率で確保することができるとされている。
二次生成
/にじせいせい
大気汚染物質が発生源から直接的に排出されるものとは別に、大気中での光化学反応等によって生成されるものもあるため、そのような大気中での生成過程のことを二次生成と呼ぶ。二次生成粒子の生成と言い換えることができる。光化学オキシダントは大気中での光化学反応による生成のみが想定されるため二次生成とは表現されず、PM2.5等の粒子状物質に関連して使われる表現である。
ニッケル
/にっける
天然に存在する金属元素(原子番号28)のこと。元素記号はNi。ニッケル鉱石は23を超える多くの国で産出される豊富な資源であり、腐食や酸化に対する耐性があること、合金化が容易などの特質を有することから、工業製品や日用品の汎用的な素材である。他の金属類と同様に、一定レベル以上の摂取により人の健康にも悪影響があることから、環境中での存在状況に係る管理が必要とされている。日本国内では、平成24年7月23日に食品安全委員会よりニッケルの食品健康影響評価が実施され、ニッケルの耐容一日摂取量(TDI)として4μg/kg体重/日という基準が定められた。
燃料蒸発ガス
/ねんりょうじょうはつがす
ガソリン車において、走行中や駐車中に燃料タンクから蒸発・排出されるガスを指す。
国は、化学物質排出把握管理促進法(化管法)に基づいて自動車及び二輪車の「燃料蒸発ガス」として、3種類の燃料蒸発ガスについて対象化学物質の届出外排出量の推計を行っている。 推計対象としているのは、ダイアーナルブリージングロス(DBL)、ホットソークロス(HSL)、ランニングロス(RL)である。その他にガソリンスタンドにおいて、タンクローリーから地下タンクに燃料を受け入れる際に排出される「受入ロス」と、自動車に給油を行う際に、燃料タンク内に蒸発していた蒸気が押し出される「給油ロス」があるが、これは原則として届出の対象となっているため、自動車(燃料蒸発ガス)としては推計していない(一部は「すそ切り以下事業者」として推計されている)。
農薬
/のうやく
主に農作物を害する菌、昆虫などの防除に用いられる殺虫剤、殺菌剤や植物の成長を阻害する除草剤であり、農薬取締法により管理される薬剤のこと。同法に基づく登録を受けた薬剤に限り、製造・輸入等が可能となる。一般的には工場で定常的に使用される化学物質とは異なり、田畑等に散布された使用量のほぼ全量が環境中に排出されることや、使用される時期や地域が限定的であることに特徴があることから、化学物質管理の分野においては「農薬」として一般化学物質とは異なる扱いで議論されることが多い。
NOx
/のっくす
⇒「窒素酸化物(NOx)」を参照
野焼き
/のやき
屋外で廃棄物を焼却すること。我が国では「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」や各自治体が定める条例により原則として禁止されているが、農業残渣の焼却や宗教上の行事等が一部例外行為として認められている。 また、大規模な野焼きによりPM2.5が広域的に高濃度となる事例が報告されている。