一斉分析
/いっせいぶんせき
複数の化学物質の濃度分析を同時に実施する手法のこと。多数の化学物質の濃度を把握する必要がある場合に有用であり、環境水中の要調査項目のモニタリングへの適用等が検討されている。複数の化学物質の検量線データ等を事前にデータベースに登録しておき、特定の測定条件(使用する器具や手順、試薬等)で分析を行う方法などがある。
一般環境大気測定局
/いっぱんかんきょうたいきそくていきょく
大気汚染防止法に基づいて都道府県等が設置する大気汚染常時監視測定局のうち、大気汚染対策の効果の確認など地域全体の汚染状況を把握するため、もしくは、特定の発生源の影響を受けて高濃度の局所汚染が出現しやすい地域での緊急時の措置を行うために設置された測定局のこと。
化学物質環境実態調査(黒本調査)
/かがくぶっしつかんきょうじったいちょうさ(くろほんちょうさ)
化学物質の中には、製造、流通、使用、廃棄の各段階で適切な管理が行われない場合に、人の健康や生態系に有害な影響を及ぼす可能性があるものもある。化学物質環境実態調査は、そのような化学物質について、一般環境中の残留状況を把握するために実施される調査のことである。実施主体は環境省であり、環境残留の有無が明らかでない化学物質を対象とした「初期環境調査」、初期環境調査で環境残留が確認された化学物質の残留状況をさらに精密に把握するための「詳細環境調査」、POPs条約の対象物質及びその候補となる可能性のある物質等を調査する「モニタリング調査」の3つの調査を基本とする。調査結果は、化審法の規制対象物質の追加や、環境リスク評価実施のための基礎資料など、各種の化学物質関連施策で活用される。
乾き排ガス量
/かわきはいがすりょう
燃料、その他のものの燃焼等により発生する排ガスのうち、水分を含まないガスを乾き排ガスといい、水分を含むガスを湿り排ガスという(JIS Z 8808)。湿り排ガス量から排ガス中の水蒸気量を除いたものを乾き排ガス量という。一般廃棄物処理に伴うダイオキシン類排出状況調査において、排ガスに関する項目の報告では乾き排ガスでの値を報告することとなっている。
検出
/けんしゅつ
分析機器を使い、試料中にある物質が含まれているという事実を確認すること。また、分析化学で使用される類似の用語として「定量」があるが、これは試料中に含まれる物質の濃度を定量的に把握することである。なお、ある物質の検出(又は定量)の可否は分析方法や分析機器等によって異なり、検出可能な物質の濃度の最小量を「検出下限」、定量可能な濃度の最小値を「定量下限」という。
検出下限値
/けんしゅつかげんち
ある物質の濃度の測定によって検出が可能な最低濃度のことであり、「検出限界」とも呼ばれる。英語の ”Limit of Detection” の頭文字を取って ”LOD” とも略称される。定量下限値とは異なり、一般にはその定量下限値の1/3程度の濃度レベルである。測定結果がこの検出下限値に満たない場合は、その測定データが「不検出(ND)」(Not Detected)として記録される。
固定発生源周辺
/こていはっせいげんしゅうへん
有害大気汚染物質に係る大気汚染の常時監視の測定地点のうち、固定発生源から近い位置に設置された測定地点の属性のこと。大気汚染防止法に基づく常時監視の事務処理基準では、「固定発生源周辺における測定地点」とは、「移動発生源からの有害大気汚染物質の排出の直接の影響を受けにくいと考えられる地点」と定義される。
酸素濃度12%換算
/さんそのうどじゅーにぱーせんとかんざん
ダイオキシン類対策特別措置法施行規則第二条第一項に基づき、排ガスを測定する際に酸素濃度12%として換算すること。過度な空気の流入がある場合、希釈によって排ガス中のダイオキシン類などの濃度が低下してしまうため、酸素濃度を定めて換算することによって、排ガス濃度を絶対的に評価することを目的として使われる。
自主測定
/じしゅそくてい
法令によって排ガスや排水の濃度測定が義務付けられている場合があるのに対し、その義務が課せられていない施設や測定項目を自主的に測定すること。法令で測定が義務づけられた「法定測定」に対比して使われる。
また、事業者に濃度測定のみが義務づけられ、その結果の行政機関への届出が義務づけられていない(但し、報告徴収の対象になり得る)場合も、届出義務がないという意味で「自主測定」と呼ばれる場合がある。
但し、いずれの場合においても、法令上は「自主測定」との表現は使われていない。
自動車排出ガス測定局
/じどうしゃはいしゅつがすそくていきょく
大気汚染防止法に基づいて都道府県等が設置する大気汚染常時監視測定局のうち、自動車排出ガスによる大気の汚染状況を把握するために設置された測定局のこと。その設置にあたっては、人が常時生活し、活動している場所で、自動車排出ガスの影響が最も強く現れる道路端又はこれにできるだけ近接した場所にすることが望ましいとされている。
常時監視
/じょうじかんし
水質汚濁や大気汚染、自動車騒音の状態を継続的に監視することで、水質汚濁防止法や大気汚染防止法で都道府県知事に義務が課せられている。
水質汚濁に係る常時監視の場合、水質汚濁防止法第16条に基づいて都道府県が毎年作成する測定計画に基づき、公共用水域と地下水について、それぞれ水質環境基準(健康項目・生活環境項目)を中心に水質測定が行われている。
水質環境基準は、ほぼ網羅的な水質調査が実施されており、全国で毎年4千程度の測定地点が対象となっているが、要監視項目は都道府県ごとに一部の項目に限って水質調査が実施され、測定地点は全国で数百ヶ所程度となっている。これらは基本的に月1回の頻度で実施されている。
大気汚染の常時監視は、 例えば二酸化窒素(NO2)では全国の 1,700あまりの測定局 ( うち、一般環境大気測定局が1,300局あまり、自動車排出ガス測定局が400局あまり)で1時間ごとの濃度が自動計測されている。
さらに、自動車騒音では、都道府県知事が原則5年で評価区間を一巡するローテーション方式による常時監視を行い公表することが騒音規制法第18条、第25条で規定されている。騒音の常時監視では、沿道の敷地境界における自動車騒音を実測するだけではなく、その結果に基づき道路に面する地域内の住居等における等価騒音レベルの予測も行う。平成24年の自動車騒音に係る常時監視は、6,645千戸の住居等を対象に実施され、国全体での環境基準の達成率は92.6%であった。
精度管理
/せいどかんり
測定データなどを取得する場合、測定機関によるデータ処理の方法などによってデータの信頼性が損なわれる可能性があるため、それを適切に管理し、データの精度を維持するための方法のこと。
測定地点
/そくていちてん
「大気汚染防止法第22条の規定に基づく大気の汚染の状況の常時監視に関する事務の処理基準」で使用されているベンゼンやトリクロロエチレンなどの有害大気汚染物質を測定するために選定する地点のこと。
同処理基準に「測定地点」の定義はないものの、窒素酸化物や浮遊粒子状物質等の濃度の連続測定を行う「測定局」と明確に区別し使用されている。
また、同処理基準では、有害大気汚染物質の製造・使用状況等を勘案した測定地点の地域分類として、「一般環境」、「沿道」、「固定発生源周辺」が定義されている。さらに、測定地点の選定にあたり前記の測定局を活用することも可能とされている。
大気汚染常時監視測定局
/たいきおせんじょうじかんしそくていきょく
⇒「常時監視」を参照
大気汚染防止法に基づく常時監視の事務処理基準
(※大気汚染防止法における事務処理基準について)
/たいきおせんぼうしほうにもとづくじょうじかんしのじむしょりきじゅん
正式名称は「大気汚染防止法第22条の規定に基づく大気の汚染の状況の常時監視に関する事務の処理基準」である。地方自治法第245条の9に基づき、平成13年に環境省環境管理局長より各都道府県知事及び政令市長へ通達された。地方公共団体が大気汚染状況の常時監視に関する法定受託事務を処理するに当たりよるべき基準であり、測定局の数や配置、測定方法等について定めている。
定量下限値
/ていりょうかげんち
化学物質の濃度分析において、試料中に含まれる対象化学物質が正確に定量できる最低保証濃度のことをいう。同じ分析方法における検出下限値(=化学物質の存在の有無を保証できる濃度の下限値)の3倍程度の濃度として設定される。定量下限値は分析方法や分析機器により異なり、また目的に応じて告示等で定められている場合もある。
環境基準値の超過の有無などを確認する環境計測の場合、定量下限値を環境基準値やその1/10の濃度に設定する場合も多く、分析結果の大半が「定量下限値未満」として報告され、実際の濃度の分布などの把握が困難となる場合がある。
ppt
/ぴーぴーてぃー
”Parts Per Trillion” の略で、1兆分の1の数量であることを意味する。しばしば、濃度の単位(気体の体積比率)として使われる。濃度単位のppbと比べて1,000分の1の単位であるため、非常に濃度の低い物質の単位として使われる。
ppb
/ぴーぴーびー
”Parts Per Billion” の略で、10億分の1の数量であることを意味する。しばしば、濃度の単位(気体の体積比率)として使われる。 ”Parts Per Million” の略である ”ppm” は百万分の1の大きさであるため、その1,000分の1の大きさを表している。
モニタリング
/もにたりんぐ
大気や水質などの環境の状態を継続的に把握するのに行う濃度等の測定や調査のこと。ある時点における全体像を明らかにし、問題点を見逃さないような調査を行うことをサーベイランスと呼ぶのに対し、モニタリングは継続的に調査を実施して濃度等の「変化を把握すること」に主眼がある。大気汚染や水質汚濁などの常時監視が典型的なモニタリングである。
モニタリング地点選定ガイドライン
/もにたりんぐちてんせんていがいどらいん
都道府県等による有害大気汚染物質のモニタリングを支援するため、環境省が作成するガイドラインのこと(H25.6時点では未公表)。中央環境審議会の第九次答申(H22.10.18)を踏まえ、環境省では有害大気汚染物質のモニタリング地点を合理的に配置するための方策について検討を重ね、その結果をガイドラインの形で取りまとめ、都道府県などに配布することとした。このガイドラインは、別途見直される予定の「大気汚染防止法第22条の規定に基づく大気の汚染の状況の常時監視に関する事務の処理基準」のうち、有害大気汚染物質に係る内容を補足するものと位置づけられる。
モニタリングデータ
/もにたりんぐでーた
大気や水質などの状態を継続的に測定(監視)することをモニタリングと呼び、その結果として得られるデータをモニタリングデータと呼ぶ。一時的な測定で得られたデータはモニタリングデータとは呼ばず、長期間に亘って継続的に測定され、濃度などの増減が把握される形で得られたものがモニタリングデータである。
粒子数
/りゅうしすう