解像度
/かいぞうど
データ等が得られる時間や空間の間隔のことで、時間分解能や空間分解能ともいう。 多くの物理現象は時間的空間的に変動しているため、対象とする物理現象の時間スケール及び空間スケールにあったデータを解析する必要がある。例えば、特定の地点で潮汐による水位変動を解析する場合は、干潮と満潮が1日2回ずつあることから、その水位変動の実態を適切に把握するには、少なくとも12時間÷4=3時間の時間分解能のデータが必要である。また、例えば、集中豪雨の空間スケールは通常10km程度であるから、集中豪雨による降雨量を把握するためには10km以下の空間分解能のデータが必要となる。
海防法施行令
/かいぼうほうしこうれい
海洋汚染防止法(海防法)
/かいようおせんぼうしほう(かいぼうほう)
正式には「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」といい、船舶等による海洋汚染や海上災害の防止を目的とする法律。マルポール条約で油や有害液体物質による汚染防止等が規定されており、それらを担保した国内法として位置づけられている。
海洋環境保護委員会(MEPC)
/かいようかんきょうほごいいんかい(えむいーぴーしー)
Marine Environment Protection Committeeの略称。国際海事機関(IMO)の全加盟国から構成される委員会の一つであり、船舶による海洋環境の汚染の防止・規制等について検討を行っている。特に、マルポール条約や船舶バラスト水規制管理条約等の海洋環境に関する国際条約や、それらに関連するガイドライン等の策定・改定に係る検討を行っている。
化学物質環境実態調査(黒本調査)
/かがくぶっしつかんきょうじったいちょうさ(くろほんちょうさ)
化学物質の中には、製造、流通、使用、廃棄の各段階で適切な管理が行われない場合に、人の健康や生態系に有害な影響を及ぼす可能性があるものもある。化学物質環境実態調査は、そのような化学物質について、一般環境中の残留状況を把握するために実施される調査のことである。実施主体は環境省であり、環境残留の有無が明らかでない化学物質を対象とした「初期環境調査」、初期環境調査で環境残留が確認された化学物質の残留状況をさらに精密に把握するための「詳細環境調査」、POPs条約の対象物質及びその候補となる可能性のある物質等を調査する「モニタリング調査」の3つの調査を基本とする。調査結果は、化審法の規制対象物質の追加や、環境リスク評価実施のための基礎資料など、各種の化学物質関連施策で活用される。
化学物質管理指針
/かがくぶっしつかんりししん
事業者による合理的な化学物質管理を促進するための指針として、化学物質排出把握管理促進法に基づき策定されたもの。PRTR制度などと異なり、化学物質管理指針は取組が求められる事業者が実質的に限定されていないため、中小零細企業も含めた幅広い事業者による取組の必要性が謳われている。
同指針においては、工程別に取り組むべき事項などが示されているものの、その内容が抽象的であることに加え、その根拠となる化学物質排出把握管理促進法では「化学物質管理指針に留意」した取組を求めているのに過ぎず、実効性を疑問視する指摘もある。
化学物質審査規制法 (化審法)
/かがくぶっしつしんさきせいほう (かしんほう)
正式には「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」といい、新たに製造・輸入する化学物質等の人や動植物に対する有害性を審査し、一定の化学物質の製造・輸入などを規制するための法律。我が国ではPCB汚染を契機として、世界に先駆けて1973年に化学物質の事前審査の仕組みとして化審法が制定された。
既存化学物質については、曝露性や有害性に基づき国によりリスク評価が実施される仕組みとなっており、最初のスクリーニングにより人や動植物への影響の可能性が考えられる物質(優先評価化学物質)について、さらに詳細なリスク評価が実施されることとなっている。
化学物質排出把握管理促進法 (化管法)
/かがくぶっしつはいしゅつはあくかんりそくしんほう (かかんほう)
正式には「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」といい、我が国にPRTR制度を本格導入することを主目的に制定された法律のこと。PRTR制度のほか、SDS制度や化学物質管理指針についての規定が柱となっている。
PRTRパイロット事業の経験を踏まえて制度設計され、法施行から約7年後に法制度の見直しが検討された結果、法律自体の改正は行わず、政令(化管法施行令)や省令(化管法施行規則)を改正することとなり、その新たな枠組みでPRTR制度等が開始された(概ね平成23年度から本格的に開始)。
化学物質審査規制法(化審法)と並び、環境リスクに基づく化学物質管理を促進するための基本的な法律と位置づけられる。
化管法施行規則
/かかんほうしこうきそく
正式には「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律施行規則」という。化管法に基づくPRTRの届出に必要な事項などを規定している。
化管法見直しの一環として化管法施行規則も一部改定され、PRTRの届出事項として「廃棄物の種類」などを追加する形で平成22年4月1日に公布(即日施行)された。
化管法施行令
/かかんほうしこうれい
正式には「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律施行令」という。化管法に基づくPRTR制度の対象業種や対象化学物質などを規定している。
化管法見直しの一環として化管法施行令も一部改定され、第一種指定化学物質及び第二種指定化学物質を見直すと共に、医療業をPRTRの届出対象業種に追加した形に改められ、平成20年11月21日に公布(平成21年10月1日から順次施行)された。
化管法見直し
/かかんほうみなおし
化管法の附則第三条で謳われた見直し規定に従い、平成18年11月の中央環境審議会への答申から始まった一連の検討と、それを踏まえたPRTR制度の枠組みの見直しのこと。中央環境審議会からの答申に基づき、化管法自体の改正は行わず、政省令の改正や法律の運用の見直しで対応することとなり、具体的には「(1)PRTR対象化学物質の見直し」、「(2)PRTRの届出対象業種に医療業を追加」、「(3)PRTRの届出事項に廃棄物の処分方法等を追加」、「(4)事業所ごとのPRTR届出データを実質的な公表に変更」などが行われた。
加重平均
/かじゅうへいきん
複数のデータから算出する「平均」の一種で、個々のデータの"重要性"を考慮して算出される平均のこと。 例えば、職業別の平均所得から全職業の平均所得を算出する場合、職業別に就労人口が異なるため、職業別の平均所得にその就労人口で重み付けを行って算出する加重平均値を使うのが一般的である。
河川コード
/かせんこーど
河川コードとは、一級河川、二級河川、準用河川、普通河川に該当する個別の河川を一意に特定するために付与された10桁の番号のこと。河川コードは、2桁の地域番号(一級河川の場合は地方整備局等別、一級河川以外については都道府県別)、4桁の水系番号、4桁の河川番号から構成されており、個別の河川を特定できるとともに、地域や水系などの属性についても特定することが可能である。
河川コードは、国土交通省河川局においてコードの付与及び管理に関する事務が行われており、河川に関する各種統計や台帳等で利用されている。
稼働率
/かどうりつ
施設等の持つ能力をすべて使って連続稼働した場合と比べた実際の稼働状況の割合のこ と。例えば、発電所であれば、電力需要に応じて出力の調整を行ったり、点検等で稼働を停止する場合もあるため、一般にはフル稼働に比べて発電電力量が少なく、稼働率が100%よりも低い値になる(「設備利用率」と表記する場合も同義)。稼働時の出力の大小を考慮せず、稼働時間の割合だけで定義した「時間利用率」とは意味が異なる。
活性物質
/かっせいぶっしつ
船舶バラスト水規制管理条約のガイドラインにおいて定義される「有害水生生物及び病原体に対し、一般的又は特別な作用をもたらす物質又はウィルス又は菌を含む生物」のこと。一部のバラスト水処理システムにおいて生物を処理するために用いられ、殺生物機能を有する化学物質(例えば、次亜塩素酸や過酸化水素)等が該当する。活性物質を使用するバラスト水処理システムは、前記のガイドラインG9に従って活性物質が環境へ与えるリスクの評価を行い、その結果についてIMOの承認を得る必要がある。
活動量
/かつどうりょう
化学物質等の環境中への排出量を推計するのに使われるパラメータの一つであり、これに排出係数を乗じて排出量が推計される。排出量推計の対象となるものによって、利用可能な統計データ等の種類も異なるため、活動量の設定方法は推計対象によってさまざまなものが使われている。活動量の例としては、例えば以下のようなものが使われている。
例1:ガソリンスタンドの給油に伴う排出→ガソリン等の燃料の給油量(kL)
例2:自動車の排気ガスによる排出→自動車の車種別・旅行速度別の走行量(km)
貨物運送小委員会(CCC)
/かもつうんそうしょういいんかい(しーしーしー)
Sub-Committee on Carriage of Cargoes and Containersの略称。国際海事機関(IMO)の委員会(MSC等)に付属する小委員会の一つであり、委員会の指示に従い、船舶による貨物・コンテナの取り扱いに関する条約や規制の効率的な実施に係る技術面・運用面の問題について検討を行っている。具体的には、SOLAS条約やマルポール条約等の国際条約や、関連する規則の運用・見直しに係る検討を行っている。
なお、IMOでは2014年に小委員会が再編され、CCC小委員会は、再編前の危険物・固体貨物(DSC)小委員会における審議事項について主に検討することとされた。
乾き排ガス量
/かわきはいがすりょう
燃料、その他のものの燃焼等により発生する排ガスのうち、水分を含まないガスを乾き排ガスといい、水分を含むガスを湿り排ガスという(JIS Z 8808)。湿り排ガス量から排ガス中の水蒸気量を除いたものを乾き排ガス量という。一般廃棄物処理に伴うダイオキシン類排出状況調査において、排ガスに関する項目の報告では乾き排ガスでの値を報告することとなっている。
カラーインデックス
/からーいんでっくす
顔料や染料などの色材に関するデータベース。 Colour Index Generic Names (カラーインデックス名) とColour Index Constitution Numebers (カラーインデックス番号)で整理されている。カラーインデックス名は、カラーインデックスの略称C.I.のあとに、種類(顔料(ピグメント)など)、色(レッドなど)、数字で構成されている。数字は古いものから順番につけられているため、古くからある色材(インディゴなど)は1が付されている。カラーインデックス番号は、モノアゾ、ジアゾなどの構造によって区分されている。
環境基準
/かんきょうきじゅん
人の健康の保護などを目的に、大気汚染や水質汚濁等に関連して「維持されることが望ましい基準」として環境基本法に基づき指定されているもの。大気汚染や水質汚濁の場合、大気や水に含まれる汚染物質の濃度(ppmやmg/Lなど)として、環境庁告示等で基準値が指定されている。そのうち、水質汚濁に係る環境基準は、さらに「人の健康の保護に関する環境基準(健康項目)」と「生活環境の保全に係る環境基準(生活環境項目)」に分けて項目が指定されている。
>>> 環境基準について(環境省HP)
環境基本法
/かんきょうきほんほう
我が国における環境保全の基本理念や主体別(国、自治体、事業者、国民)の責務、環境施策の基本的な事項を定める法律であり、国が環境政策を推進するための基礎となる法律と位置づけられる。政府が媒体別(大気、水質、土壌等)の環境基準を定めることは、この環境基本法の第16条で規定されている。
環境事業評価
/かんきょうじぎょうひょうか
種々の環境事業実施において、事前、中間、終了時、事後の各段階で科学的かつ客観的に事業の妥当性や価値を判断する作業であり、 分析結果が事業の改善に活かされるだけでなく、提言・教訓の抽出が行われ、新たな計画の策定に活用される。
事業評価は単に技術評価にとどまらず、事業背景を把握したうえで、事業目的と政策との整合性、ニーズとの合致、事業成果の達成程度、実施期間や人材と金額等投入の適切性、その他の付随的影響の有無、成果の継続性、実施のプロセスの適切性、等々、広範な視点から事業を評価分析するものである。
環境配慮型自動車
/かんきょうはいりょがたじどうしゃ
省エネや低燃費技術により大気汚染物質や温室効果ガスの排出抑制を実現する形で環境に配慮した自動車のこと。
内燃機関と電動モーターを併用したハイブリッド自動車や窒素酸化物や粒子状物質の排出量を低減したクリーンディーゼル車、菜種や大豆等の生物資源を原料とするバイオディーゼル車、走行時に燃料を一切必要としない電気自動車等がある。
環境ホルモン
/かんきょうほるもん
「内分泌かく乱(化学)物質」の通称。世界保健機関・国際化学物質安全性計画(WHO/IPCS)における内分泌かく乱物質の定義は、「内分泌の機能に変化を与え、それによって個体やその子孫あるいは集団に有害な影響を引き起こす外因性の化学物質あるいは混合物」である。ポリ塩化ビフェニル類(PCB)、トリブチルスズ等が該当物質として取り上げられている。
平成10年には「環境ホルモン戦略計画SPEED'98」が環境省(当時環境庁)から公表され、疑わしい物質としてリストアップされた67物質(65物質に修正)の実態調査等が行われ、平成17年からは「ExTEND2005」として見直された対応方針に基づいて各種取組が実施され、その取組状況のレビューなどを経て、平成22年には「EXTEND2010」として新たな方針が取りまとめられた。
※内分泌:分泌物を排出管を通さず、内分泌腺(分泌細胞)から血液中などに放出すること。
環境リスク評価
/かんきょうりすくひょうか
化学物質などが環境媒体(大気や水など)を経由して人の健康や生態系に悪影響を及ぼす可能性があることを「環境リスク」と呼び、その環境リスクの程度を定量的に評価することを環境リスク評価と呼ぶ。化学物質などの有害性(ハザード)の程度と曝露性の程度をそれぞれ評価して、両者の関係から環境リスク評価が行われる。
間接曝露
/かんせつばくろ
ヒトや生物への化学物質等の曝露は、その曝露経路により「直接曝露」と「間接曝露」に分けられる。直接曝露は、対象とする化学物質を扱う工場内などの現場において吸引や接触等により直接的に摂取する曝露であるのに対し、間接曝露は、大気や水域、土壌など環境中へ拡散した化学物質が空気の吸入や飲水、食品の摂食等を通じて間接的に摂取される曝露を指す。
揮発性や生物蓄積性など、個々の化学物質の特性等に応じて曝露されやすい経路は異なる。
感度レジーム
/かんどれじーむ
対流圏オゾンの生成量(生成速度)と、その前駆物質である揮発性有機化合物や窒素酸化物の排出量は単純な比例関係にならないことが知られており、その関係性は(オゾンの)感度レジームで説明される。感度レジームは主に「VOC律速(VOC-limited)」と「NOx律速(NOx-limited)」に大別される。大気の状態がVOC律速の場合はオゾン濃度の低下に対してVOCの排出量削減が効果的であり、一方でNOx律速の場合はNOxの排出量削減が効果的となる。感度レジームは前駆物質の濃度比(VOC/NOx)によりおおよそ決まることが知られており、一般にNOx濃度の高い都市部ではVOC律速、VOC濃度が高い郊外ではNOx律速となる傾向がある。
含有率
/がんゆうりつ
化学製品などに含まれる物質の重量割合のことで、百分率(パーセント)などで表される。「濃度」と表現される場合も、ほぼ同義である。このような製品中の化学物質の含有率(濃度)は、一定の有害性を持つ物質についてはSDSに記載することが義務づけられている。PRTRの届出外排出量の推計では、このような製品中の化学物質の含有率からのアナロジーとして、廃棄物中の化学物質についても含有率という概念を導入し、その平均的な値の推計を試みている。
大気や水質などに含まれる化学物質の重量割合については、通常は「含有率」という表現は使わず「濃度」と表現する。
ガス機関
/がすきかん
ガス燃料により駆動する内燃機関のこと。ピストンが往復運動を行うことにより動力を得る、いわゆる「レシプロエンジン」である。冷却方法は間接冷却方式とラジエータ式があり、間接冷却方式のエンジンは冷却に大量の水を必要とするため、施設内に貯水設備がない場合等は、停電や災害等で断水するとエンジンを稼働できない場合がある。なお、燃料の多くは都市ガスである。
ガスタービン
/がすたーびん
内燃機関の一つ。空気の圧縮・膨張が動力源であることは、ピストンが往復運動(レシプロ運動)をするエンジン(レシプロエンジン)と同じであるが、往復運動を経ずに膨張した空気で直接タービンを回転させることがガスタービンの特徴である。レシプロエンジンと比べ設備の規模に対して大きなエネルギーを生み出すことできることから、航空機のエンジンはほぼガスタービンである。また、回転運動により動力を生み出すため、同規模のレシプロエンジンよりも騒音や振動は一般的に小さい。使用燃料として液体燃料又はガス燃料のどちらかの燃料を使用することが一般的だが、近年は、非常時にガス燃料から液体燃料への切り替えを行うデュアルフューエルタイプのガスタービンも販売されている。
規制改革実施計画
/きせいかいかくじっしけいかく
潜在需要を顕在化させることによる経済活動の支援、日本経済の再生に資する各種規制の見直しを行い、経済社会の構造を進めることを目的として、平成25年6月14日に閣議決定された国の計画のこと。同実施計画では、「健康・医療」、「雇用」、「農業」、「貿易・投資等」を改革の重点分野として、各分野の規制改革の内容が、実施時期とともにまとめられている。
希薄燃焼
/きはくねんしょう
内燃機関に用いられる窒素酸化物の排出抑制対策技術の一つ。「リーンバーン」とも呼ばれる。内燃機関で燃料を点火する際、燃焼室内の空気は燃料と混ざり合っている状況にある。そのときの空気の質量を燃料の質量で除した値を「空燃比」といい、空気と燃料が完全に反応する場合の空燃比を理論空燃比という。希薄燃焼とは、理論空燃比よりも薄い空燃比の状態(この状態を、"リーン"という。)で行う燃焼のことで、理論空燃比下での燃焼よりも燃焼温度が低くなることから、窒素酸化物の発生を抑えることができる。
基準値
/きじゅんち
環境基準や排出基準などは遵守すべき値として示されるが、その「値」のことを意味する。単に「環境基準」と呼ばれるときも、項目ごとの遵守すべき値を含む意味を持つが、特に「値」を強調する場合に「基準値」と呼ばれる。
揮発性有機化合物 (VOC)
/きはつせいゆうきかごうぶつ (ぶいおーしー)
"VOC"は"Volatile Organic Compound"の略であり、揮発性の高い有機化合物の総称である。我が国の大気汚染防止法では「大気中に排出され、又は飛散した時に気体である有機化合物」と包括的な定義がなされているが、世界保健機関(WHO)では沸点の範囲が50℃から260℃の範囲の有機化合物に限ってVOCと定義している(物質ごとの揮発性の程度に応じて分類している)。光化学オキシダントの前駆物質の一つであり、溶剤や燃料等の蒸発のほか、植物などからも排出される。大気汚染防止法に基づく排出規制等の対象であるが、大気環境の分野では(労働環境の分野と異なり)人の健康への直接的な悪影響は考慮されておらず、大気汚染物質(光化学オキシダント等)の前駆物質の一つに位置付けられている。
同様の意味で「炭化水素類」という表現が使われることがあるが、炭化水素類は厳密には炭素(C)と水素(H)以外の元素を含む化合物(例:アルデヒド類)は含まないため、VOCとは意味が異なる。
キャニスタ
/きゃにすた
ガソリン自動車の燃料系統に蒸発ガスの発生を防止するために装着されている活性炭等が封入された吸着装置を指す。駐車中に蒸発したガスはキャニスタに吸着されるが、走行中に吸気マニフォルド(多気筒エンジンに空気を供給するための枝別れになっている配管)が負圧となって吸着された蒸発ガスを空気とともに吸気マニフォルドに送り、キャニスタの吸着能を回復する。
急性水生生物毒性
/きゅうせいすいせいせいぶつどくせい
化学物質等が水生生物に及ぼす有害性のことであり、短期間の曝露を想定したもの。有害性の程度は、一般には魚類、甲殻類、藻類の3種類の試験によって評価が行われ、LC50(半数致死濃度)、EC50(半数影響濃度)等の指標の値として示される。
急性毒性
/きゅうせいどくせい
化学物質の毒性の種類の一つで、化学物質を投与した直後、又は数日以内に悪影響が現れる毒性のこと。この急性毒性の程度を示す指標としては、半数致死量 (LD50) などが使われ、例えば体重1kg当たりの投与量として"mg/kg-体重"といった単位で表される。
業界団体
/ぎょうかいだんたい
特定の産業や業種に係る事業者または事業者団体を会員として構成される非営利団体。しばしば「○○協会」や「○○工業会」などと呼ばれている。
業種
/ぎょうしゅ
主たる事業活動の内容によって事業者や事業所を分類するときの区分のこと。「産業分類」と表現されることもある。日本では、総務省が日本標準産業分類を数年ごとに改定しており、さまざまな統計データなども、その日本標準産業分類に準拠してデータが整理されるのが一般的である。
複数の事業所を有する事業者の場合、個々の事業所の業種が事業者全体の業種と異なる場合がある(例:会社全体では医薬品の製造が主であるが、一部の工場ではもっぱら飲料を製造している場合)。
化学物質排出把握管理促進法では、PRTRの届出対象となる事業者を「業種」として規定しているが、この業種は日本標準産業分類(平成5年10月改定)がベースとなっており、最新の日本標準産業分類(平成25年10月改定)とは業種区分が異なっている。
寄与率
/きよりつ
日本語の「寄与」とは本来は「何かの役に立つこと」という意味であり、その目的に対する寄与の割合を定量的に表すのが「寄与率」の本来の意味である。例えば「A県のVOC排出量の削減に対する当社の寄与率」などと表現される。
このように、本来は良い意味で「貢献する」場合に使われる表現であるが、曝露評価においては、曝露経路ごとの摂取割合という意味で「寄与率」という表現が使われることがある。この「寄与率」という表現は、水質環境基準(健康項目)に関連した中央環境審議会の答申などでも使われているが、「寄与」の本来の意味を考えると、紛らわしい表現である。「アロケーション」や「曝露割合」と表現される場合と同義である。
グラブサンプリング
/ぐらぶさんぷりんぐ
河川や大気などのモニタリングにおけるサンプリング方法の一種。水質調査の場合、特定の場所、時間にボトル等を用いて採水する。水質汚濁防止法に基づく公共用水域の常時監視のための水質調査方法として採用されている。採取したサンプルを分析することにより、サンプルを得た瞬間の濃度を高い精度で把握することが可能である。一方で、環境中での存在量が一定期間で大きく変化する物質(農薬など)を捉える方法としては適していない可能性がある。
クリーニングソルベント
/くりーにんぐそるべんと
工業ガソリン5号の通称であり、ドライクリーニング等に用いられる石油系混合溶剤の一種である。JIS K 2201により、初留温度150℃以上などと規定されており、工業ガソリンの中では比較的高沸点の成分から構成されている。
KML
/けーえむえる
KML(Keyhole Markup Language)は、三次元地理空間情報の表示形式を管理するために、米国Keyhole社(現在は、買収によりGoogleに統合)により開発されたXMLベースのマークアップ言語である。KMLはGoogleAPI(Google Maps、GoogleEarth)で標準的なファイルフォーマットとされているほか、NASAでは海面水温や水蒸気などの衛星観測結果もKML形式で整理されており、2006年には、地理空間情報の標準化団体であるOpen Geospatial Consortium (OGC)により、オープンスタンダードとして認定された。
CAEP
/けーぷ/かえぷ
⇒「航空環境保全委員会(CAEP)」を参照
GESAMP
/げさんぷ
1969年に国連の海洋環境評価のための第三者機関として設立された、「海洋環境保護の科学的事項に関する専門家合同グループ」("Joint Group of Experts on the Scientific Aspects of Marine Environmental Protection")のこと。IMO(国際海事機関)やUNEP(国連環境計画)等の国連機関(FAO, IAEA, IMO, UN, UNDP, UNEP, UNESCO, UNIDO, WMO)の支援の下に活動を行っている。議題に応じて複数のワーキング・グループが組織されており、ばら積み液体貨物の有害性の評価や、活性物質を使用するバラスト水処理装置に関するリスク評価等を行っている。
GESAMP-EHSグループ
/げさんぷいーえいちえすぐるーぷ
GESAMP Working Group on Evaluation of the Hazards of Harmful Substances Carried by Ships (WG1)のこと。GESAMPの作業部会のうち、船舶によって輸送される化学物質の有害性評価等を行っている。
GESAMPハザードプロファイル
/げさんぷはざーどぷろふぁいる
マルポール条約附属書Ⅱに基づく化学物質の汚染分類の評価を主な目的として、化学物質の有害性に関する 13 項目について、有害性の高さや性質に応じた数値又は記号(レーティング)を付すことにより、物質の性質を表すもの。GESAMP-EHSグループが策定したものであり、レーティングの基準は GHS に準じている(ただし、ハザードプロファイルではレーティングの数値が大きい方がより有害性が高いことを意味する)。GESAMPハザードプロファイルの一覧(GESAMP Composite List)は、PPR.1/Circular 等によって公表されている。
下水処理施設 (下水道終末処理施設)
/げすいしょりしせつ (げすいどうしゅうまつしょりしせつ)
下水道を構成する施設の一部であり、下水道法が規定する下水道終末処理場と同義。集められた下水の汚れを除去し、公共用水域(河川等)に放流するのに適した状態まで浄化するために設置された施設のこと。
下水処理施設における処理工程は、沈降等の物理的処理による一次処理と、活性汚泥等を使った生物的処理を基本とする二次処理から構成されるのが一般的である。地域によっては、主に閉鎖性水域における富栄養化対策として、窒素やリンの除去などを目的に高度処理が行われることもある。
下水道
/げすいどう
下水道法の第二条の第二号で定義されており、下水(汚水や雨水)を排除するための排水管や処理施設等の設備すべてを表す。処理する下水の範囲や対象によって公共下水道や流域下水道(複数の市町村にまたがる)、都市下水路(雨水のみ排除する)に分類されている。
また、都市下水路以外の下水道は、汚水と雨水の排除方法によって合流式と分流式に分けられる。合流式の下水道は汚水と雨水を同じ下水管で排除するため、大量の雨が降ったときなど、下水処理施設の処理能力を超えてしまい、一部の汚水が処理されずに放流されてしまう問題がある。
さらに、下水道と同様の汚水処理施設として、合併処理浄化槽やコミュニティプラント、農業集落排水処理施設なども使われている。これらは下水道法に基づく下水道ではないが、「広義の下水道」として下水道に分類されることがある。
健康項目
/けんこうこうもく
水質汚濁に係る環境基準のうちのグループの一つ(もう一つのグループが生活環境項目)で、正式には「人の健康の保護に関する環境基準」という。現在はカドミウムや全シアンなど27項目が指定されている(※1,4-ジオキサンが平成21年度に追加された)。指定されている項目は、重金属や有機塩素系化合物など、事業場からの排水に含まれる可能性の高いものが多い。
このような環境基準は、長期間継続して人が摂取しても健康に悪影響が生じないと見込まれる水質の水準として設定されるものであり、原則として年平均値として基準値(例:0.003mg/L以下)が決められている。
>>> 健康項目(環境省告示 別表1)
検出
/けんしゅつ
分析機器を使い、試料中にある物質が含まれているという事実を確認すること。また、分析化学で使用される類似の用語として「定量」があるが、これは試料中に含まれる物質の濃度を定量的に把握することである。なお、ある物質の検出(又は定量)の可否は分析方法や分析機器等によって異なり、検出可能な物質の濃度の最小量を「検出下限」、定量可能な濃度の最小値を「定量下限」という。
検出下限値
/けんしゅつかげんち
ある物質の濃度の測定によって検出が可能な最低濃度のことであり、「検出限界」とも呼ばれる。英語の ”Limit of Detection” の頭文字を取って ”LOD” とも略称される。定量下限値とは異なり、一般にはその定量下限値の1/3程度の濃度レベルである。測定結果がこの検出下限値に満たない場合は、その測定データが「不検出(ND)」(Not Detected)として記録される。
建築物用地下水の採取の規制に関する法律
/けんちくぶつようちかすいのさいしゅのきせいにかんするほうりつ
政令で指定された地域(大阪府、東京都、埼玉県、千葉県の一部地域)内において、建築物用地下水の採取による地盤沈下を防止し、国民の生命及び財産の保護を図り、公共の福祉に寄与することを目的として昭和37年に制定された法律のこと(昭和37年制定、平成12年最終改正)。
政令で指定された地域を対象に、建築物用水(冷房、暖房、水洗便所、自動車の洗車)への利用を目的として地下水を採取する場合には、都道府県知事又は指定都市の長の許可(許可基準項目:ストレーナ位置及び揚水機の吐出口断面積)が必要であり、無許可で地下水を採取し建築物用水として利用したり、都道府県知事の命令に違反したりした場合には、罰則が適用される。
所管は、環境省である。
広域処理
/こういきしょり
地震等により災害廃棄物が多量に発生し、地域内での処理が困難になった場合に災害発生地域外の自治体や産業廃棄物処理事業者の協力により廃棄物処理を行うこと。東日本大震災によって発生した災害廃棄物は、東京都をはじめ全国各地で広域処理が行われた。
光化学オキシダント
/こうかがくおきしだんと
環境基準が設定されている代表的な大気汚染物質であり、VOCやNOxなどを前駆物質として、大気中で紫外線による光化学反応によって二次生成されると考えられている(排出ガスなどに含まれて直接的に排出されるものは想定されていない)。光化学スモッグの原因となり、その1時間値が一定レベル以上になると、都道府県による注意報や警報、重大緊急警報が発令される。しばしば「Ox」と表され、その多くをオゾン(O3)が占めているが、アルデヒド(R-CHO)やパーオキシアセチルナイトレート(PAN:R-CO3NO2)などを含む酸化性物質の総称がオキシダントである。
光化学スモッグ
/こうかがくすもっぐ
光化学オキシダント等の濃度が高くなり、白くもやがかかった状態(スモッグ状)になることを光化学スモッグという。
光化学オキシダントの濃度が光化学スモッグの指標として使われ、その濃度に応じて、光化学スモッグ注意報、警報等の発令基準が定められており、都道府県より発令される。
光化学反応
/こうかがくはんのう
ある物質に光のエネルギーが加えられて起こる化学反応のこと。分子が光エネルギーを受け取って励起された状態となり、それがさまざまな化学反応を引き起こすことがある。大気中で発生する励起反応とほぼ同義である。
公共用水域
/こうきょうようすいいき
水質汚濁防止法によって排水規制などが適用される水域のことであり、具体的には河川や湖沼、港湾、沿岸海域などが同法にて規定されている。地下水、水田などは公共用水域には該当していない。
工業統計表
/こうぎょうとうけいひょう
統計法に基づき経済産業省が毎年(12月末が調査期日)実施する工業統計調査により、全国の製造業への実態調査結果が取りまとめられたもの。事業所ごとの従業者数や製造品出荷額等、付加価値額などが調査されており、調査結果は「産業編」「品目編」「市区町村編」等の集計区分に応じた形態で公表されている。
工業用水法
/こうぎょうようすいほう
特定の地域を対象に、工業用水の合理的な供給を確保し、地下水の保全を図り、地盤の沈下の進行を防止することを目的として、昭和31年に制定された法令(平成12年最終改正)。この法律の対象となる地域は同法第三条により「指定地域」として定義され、具体的には工業用水法施行令により10府県の17地域が指定されている。
地下水を採取し、工業目的に使用する場合には、都道府県知事の許可(許可基準項目:ストレーナ位置及び揚水機の吐出口断面積)が必要であり、無許可で工業目的に地下水を採取したり、都道府県知事の命令に違反したりした場合には、罰則が適用される。
この法令において「工業」とは、製造業、電気供給業、ガス供給業及び熱供給業をいう。
航空環境保全委員会(CAEP)
/こうくうかんきょうほぜんいいんかい(けーぷ/かえぷ)
ICAOの下部組織であり、主に航空機排出ガスや騒音等の民間航空に係る環境問題を対象として、周辺環境への影響評価や排出抑制対策の検討等を行っている。1983年に設立され、2018年4月現在、24ヶ国の委員と国際空港評議会(ACI)、国連気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)等の17のオブザーバーから構成されている。会議は3年ごとに開催され、第10回(CAEP/10)が2016年2月にカナダのモントリオールで開催された。CAEPは、Committee on Aviation Environmental Protectionの略称。
高層気象観測
/こうそうきしょうかんそく
一般にアメダス等の地上観測で測定される高度よりも上空の気象を測定することを指す。ラジオゾンデ、ウインドプロファイラ、気象観測用ロケット等の測定器を用いて観測される。
ラジオゾンデによる観測は、1日2回、グリニッジ標準時の 0時と 12時に世界各国の約700カ所、日本では全国16か所の気象官署及び南極昭和基地で観測されている。海上の気象を把握するため船舶の上から放球したり、台風の接近に伴い6時間間隔で放球したりすることもある。世界各国の測定結果は、ワイオミング大学のホームページから入手できる。
高層気象の観測結果は、気象予報の他に航空機の運航管理等にも利用される。
構造基準
/こうぞうきじゅん
一般廃棄物処理施設においては、廃棄物処理法(第六条の二第二項)に基づく、一般廃棄物の焼却設備の構造に関する基準のこと。具体的には、同法施行規則第一条の七において、「800℃以上で廃棄物を焼却できること」や「燃焼に必要な通風が行われること」など、廃棄物の焼却を適切に実施するための5つの基準が定められている。産業廃棄物焼却施設においても同様の構造基準が定めらている。
構造式
/こうぞうしき
化合物の分子を構成している各原子の結合の様子を書き表した化学式のこと。元素記号(例:炭素は"C")や結合の記号(例:二重結合は"="のような二重線)を使って表される。類似の概念として分子式や組成式があるが、例えば組成式では化学物質を構成する原子の数だけが表され、原子間の結合方法が示されない。有機化合物は異性体が多く、簡単な化合物を除いては分子式や組成式だけで物質を区別することはできないため、構造式を用いて表記されることが多い。
交通量
/こうつうりょう
道路上の特定の地点を一定時間(例:24時間)内に通過した自動車等の車両数のこと。これに対し、「走行量」は地理的な範囲(又は道路区間)の中にあるすべての自動車等が一定期間に走行した距離(キロメートル)の合計のことであり、この走行量を推定するためのデータとして交通量が使われることが多い。交通量は通常は車種ごとの車両数としてカウントされる。
後背地
/こうはいち
特定の建物や地点の後ろにある地域一帯のこと。背後地ともいう。大抵の場合、後背地は住居等の建物を含む。大気汚染物質の測定においては、例えば、道路端付近とその後背地での大気汚染物質の濃度を比較することにより、自動車からの大気汚染物質の排出の寄与を評価することがある。
環境政策において後背地が明確に定義されている分野は騒音分野であり、道路に近接する地域とその後背地が明確に区別されており、環境基準も異なる。
港湾
/こうわん
港湾法の適用を受ける港のことであり、船舶による貨物輸送等における重要性の程度に基づいて「国際戦略港湾」、「国際拠点港湾」、「重要港湾」、「地方港湾」という4種類の港格が規定されている(但し、法令の中で「港湾」に係る直接的な定義はない)。漁港法の適用を受ける漁港は、一般の貨物の輸送とは関係ないため、港湾とは区別される。
港湾への入港船舶の実態は港湾調査によって把握されているが、その港湾調査の対象となる港湾は港湾調査規則の別表に示された甲種港湾(重要港湾以上のすべてと一部の地方港湾)と乙種港湾(その他の主な地方港湾)である。港湾調査では、貨物や乗客の有無と無関係に総トン数5トン以上の入港船舶が対象となっているため、一部に漁船も含まれているが、これは漁港に出入りする漁船とは関係ない。 PRTRの届出外排出量の推計においては、船舶(貨物船・旅客船等)に係る排出量は主に港湾区域の中での船舶の活動に伴う排出量が推計対象となっており、そのための基礎データとして港湾調査のデータが使われている。
港湾区域
/こうわんくいき
国土交通大臣又は都道府県知事が港湾管理者の権限の及びうる範囲として、港湾法に基づいて認可した水域。その範囲は、経済的に一体の港湾として管理運営するために必要な最小限度の区域とされている。
類似の用語として「漁港区域」というものがあるが、これは漁港漁場整備法に基づいて農林水産大臣が認可するものである。
コールドスタート
/こーるどすたーと
排出ガス除去触媒が冷えた(活性化していない)状態で自動車等のエンジンが始動され走行すること。触媒が暖まった状態(暖機後、ホットスタート)で同距離を走行する場合に比べて、触媒の効果が十分に発揮されないことや、ガソリン車においては燃料の噴射量を増加させていることなどから、ホットスタートに比べてより多くの化学物質が排出されることが知られている。
我が国では、PRTRの届出外排出量の一部として、自動車と二輪車のコールドスタートによる化学物質排出量の増分を「コールドスタート時の増分」として、対象化学物質の排出量を推計している。
国際海事機関(IMO)
/こくさいかいじきかん(あいえむおー)
海上の安全、効率的な船舶の運航、海洋汚染の防止に関して有効な措置の勧告等を行うことを目的とする国連の専門機関のこと。総会、理事会に加えて条約の審議等を行う5つの専門的な委員会で構成されている。IMOにて作成された主な条約には、「海上における人命の安全のための国際条約 (SOLAS条約)」、「船舶による汚染の防止のための国際条約 (MARPOL条約)」がある。IMOは、International Maritime Organizationの略称。
国際海上固体ばら積み貨物コード(IMSBCコード)
/こくさいかいじょうこたいばらづみかもつこーど(あいえむえすびーしーこーど)
International Maritime Solid Bulk Cargoes のこと。船舶による固体ばら積み貨物(穀物を除く。)の安全な輸送を推進することを目的として、貨物の危険性に関する情報の提供や評価方法、輸送方法等を定める規則である(なお、穀物の輸送については、ばら積み穀類の安全運送に関する国際規則(1991年の国際穀類規則)に定められている)。IMSBCコードでは、荷送人が船長に対し、貨物の性質に関する詳細な情報を提供することが義務づけられている。また、固体ばら積み貨物を海上輸送する際には、「種別A」(液状化するおそれのある物質)、「種別B」(化学的危険性を有する貨物)、または「種別C」(種別A、種別Bのいずれの危険性も有しない貨物)に分類することとされており、特定の貨物については、貨物の種別及びその他の関連情報がIMSBCコードの付録に掲載されている。
国際がん研究機関(IARC)
/こくさいがんけんきゅうきかん(あいえーあーるしー)
発がん原因の特定、発がん性物質のメカニズムの解明、発がん制御の科学的戦略の確立を目的とする世界保健機関(WHO)の専門機関のこと。IARCは、International Agency for Research on Cancer の略。様々な物質や要因(化学物質や混合物、環境等)のヒトに対する発がん性を評価し、評価結果をグループ1(ヒトに対する発がん性がある。)、グループ2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある。)、グループ2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある。)、グループ3(ヒトに対する発がん性について分類できない。)、グループ4(ヒトに対する発がん性がない)の5段階に分類している(5段階の分類は、評価された物質などの発がん性に関する科学的な根拠の確からしさを示すものであり、発がん性の強さやリスクの大きさを示すものではない。)。例えば、「ポリ塩化ビフェニル(PCB)」や「タバコの喫煙」はグループ1(ヒトに対する発がん性がある。)に分類されている。
>>> IARCによる発がん性の分類結果
国際民間航空機関 (ICAO)
/こくさいみんかんこうくうきかん (いかお)
国際民間航空条約(シカゴ条約)(1944年)に基づき発足した国際民間航空に関する原則の規定、技術的な基準の制定等を行っている国連の専門機関。本部はカナダのモントリオールにある。排気ガス等の環境保護に関する航空機の技術基準はシカゴ条約の第16付属書に規定され、ICAOの航空環境保全委員会で定期的にレビューされている。
ICAOは、International Civil Aviation Organizationの略称。
固体ばら積み貨物
/こたいばらづみかもつ
ばら積み輸送される固体の貨物。SOLAS条約附属書第VI章(貨物及び燃料油の運送)第1-1規則(定義)において、「液体又はガス以外の物質であって、粉状、細粒状又はそれらよりも大きな形状の物質の組合せから成り、通常は均一の構成物で、いかなる容器にも収納されることなく、船舶の貨物艙に直接積み込まれるものをいう」と定められている。
2013年1月1日発効のマルポール条約附属書X改正(MEPC決議MEPC.201(62))により、HMEに該当する物質を含む固体ばら積み貨物の荷卸し後に貨物艙に残る残留物については海洋投棄が原則禁止とされた。
固定発生源
/こていはっせいげん
発生源のうち、自動車や船舶等の移動発生源を除く発生源のことであり、火力発電所や工場などの燃焼発生源が代表的なものである。移動発生源(mobile source)に対比して使われる表現であり、その発生源の場所が不変である(=固定されている)ことから固定発生源(stationary source)と呼ばれる。
固定発生源周辺
/こていはっせいげんしゅうへん
有害大気汚染物質に係る大気汚染の常時監視の測定地点のうち、固定発生源から近い位置に設置された測定地点の属性のこと。大気汚染防止法に基づく常時監視の事務処理基準では、「固定発生源周辺における測定地点」とは、「移動発生源からの有害大気汚染物質の排出の直接の影響を受けにくいと考えられる地点」と定義される。
個別物質
/こべつぶっしつ
揮発性有機化合物(VOC)の排出インベントリなど、推計された化学物質の排出量において、「パラフィン系炭化水素類」や「芳香族」といった物質群に対し、その物質群に含まれる個々の成分(例:n-ヘキサン)のこと。個別物質はトルエンのような純物質とは限らず、ミネラルスピリットのような混合物の場合もある。
ごみ焼却施設
/ごみしょうきゃくしせつ
ゴム揮発油
/ごむきはつゆ
工業用ガソリン2号の通称であり、主にゴム溶解や塗料の希釈に用いられる石油系混合溶剤の一種である。JIS K 2201により、初溜温度80℃以上、終点160℃以下と規定されている。