ASJ RTN-Model
/えーすじぇいあーるてぃーえぬもでる
社団法人 日本音響学会により開発された道路交通騒音を予測するためのモデル(ASJ:Acoustical Society of Japan、RTN:Road Traffic Noise)のこと。車種により決まる音響パワーレベルから道路近傍までの音の伝播を予測する基本的なアルゴリズムと、沿道の建物や道路の盛土構造による音の回折、反射などを計算する追加的なアルゴリズムからなる。これまでに何度かモデルが修正されてきたが、最新版はASJ RTN-Model 2013である。最新版のモデルでは、二輪車の音響パワーレベルを設定するためのパラメータや、トンネル工事に伴う発破音の予測に関するモデルが追加された。
沿道
/えんどう
有害大気汚染物質に係る大気汚染の常時監視の測定地点のうち、交通量の多い道路から近い位置に設置された測定地点の属性のこと。「道路に沿ったところ」という意味で日常的に広く使われる用語であるが、大気汚染防止法に基づく常時監視の事務処理基準では、「沿道における測定地点」とは、「交差点、道路及び道路端付近において、自動車から排出される有害大気汚染物質による大気汚染状況が効率的に監視できるよう、固定発生源からの有害大気汚染物質の排出の直接の影響を受けにくいと考えられる地点」と定義される。
なお、環境法上の類似の用語として騒音規制法に基づく「道路に面する地域」があり、通常は幹線交通を担う道路から50m以内の地域のことを指す。
音響パワーレベル
/おんきょうぱわーれべる
音源を完全に囲む閉曲面において、曲面を通過する単位時間あたりの音のエネルギーを音響パワーという。音響パワーレベルは、音響パワーを基準音響パワーの1pW(10-12W)により対数評価した値であり、基準距離(1m)における音源から発せられる音の潜在的な大きさを表す。騒音規制法の特定施設や特定建設作業に伴う騒音の予測評価は音響パワーレベルを基に行われ、破砕機や発電機等の大きな騒音を発生する機械では、販売メーカーによる音響パワーレベルが測定されている場合が多い。
騒音の影響は測定地点ごとの音圧レベルで評価されるが、その評価のベースになるのがこの音響パワーレベルである。
音響パワーと音響パワーレベルの関係は次式に示すとおりである。
※:音響パワーレベル、:音響パワー、:基準音響パワー
固定発生源
/こていはっせいげん
発生源のうち、自動車や船舶等の移動発生源を除く発生源のことであり、火力発電所や工場などの燃焼発生源が代表的なものである。移動発生源(mobile source)に対比して使われる表現であり、その発生源の場所が不変である(=固定されている)ことから固定発生源(stationary source)と呼ばれる。
自動車騒音
/じどうしゃそうおん
自動車(原動機付き自転車を含む。)の運行に伴い発生する騒音のこと(騒音規制法第二条第4項による)。自動車交通騒音又は道路交通騒音と表現されることもある。騒音の構成要素としては、エンジンや排気等から発せられる騒音(パワーユニット騒音)とタイヤと地面の摩擦により発せされる騒音(タイヤ騒音)が支配的である。加速走行騒音規制の成果等により、自動車騒音は近年緩やかな改善傾向にあるが、一部の一般国道を中心とした幹線道路においては環境基準を超過している。これらの状況をさらに改善すべく、欧州の規制的枠組みに準じたタイヤ単体騒音への規制が現在検討されいる。
自動車騒音常時監視マニュアル
/じどうしゃそうおん
じょうじかんしまにゅある
地方自治体が実施する自動車騒音の常時監視について、参考となる考え方や具体的な手法について示されたマニュアルのこと。平成23年9月に環境省水・大気環境局自動車環境対策課により作成され、地方自治法第245条の4の規定に基づく技術的助言として都道府県及び市の担当部局へ通知された。
マニュアルは、関連する用語の定義、自動車常時監視に係る実施計画の策定、面的評価の実施、結果の環境省への報告といった内容から成る。
参考 : 自動車騒音常時監視マニュアルについて
整数風速
/せいすうふうそく
JIS C1400-11「風力発電システム-第11部:騒音測定方法」にて定義されている風車の音響パワーレベルを評価する基準風速のこと。風速6、7、8、9、10m/sの整数値で規定されている。一般に風車のから発生する空力音はハブ高の風速と共に大きくなるため、整数風速ごとの評価を行う必要がある。
低周波音
/ていしゅうはおん
低周波音に対する明確な定義はないが、各国において一般的に100〜150Hz以下の周波数の音が低周波音とされている。我が国においては、環境省 の「低周波音の測定方法に関するマニュアル」で中心周波数1〜80Hz の音を低周波音(low frequency noise)、さらに20Hz以下の音を超低周波音(infrasound)とそれぞれ定義している。
低周波音の物理特性は100Hz以上の可聴音と同様であり、その音圧レベルは距離 に依存して減衰する(幾何減衰)。
風力発電施設
/ふうりょくはつでんしせつ
1基または複数の風車からなる発電施設のこと。他の発電施設に比べ、温室効果ガスの排出量を低減できる、他の再生可能エネルギーと比べ発電コストが低い、冷却水を必要としないため立地確保が容易であるなどの長所がある。また、小規模分散型の発電施設であるため、災害時などの有事での稼働率を高くすることができ、地震や津波にも強い(2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により運転が停止した風車は一基もなかった)。
一方、短所として、風速の変動に伴う出力電圧の変動、近隣住居への騒音・低周波音の影響、鳥が風車へ衝突するバードストライクやブレードの回転により影が生じるシャドーフリッカーなどの問題がある。 また、国内では、不適切な風況下に設置したために予想通りの電力量が得られなかったケースや、複数の風車の間隔を十分に確保しなかったためにブレードが破損したケースも少なくない。
面的評価
/めんてきひょうか
道路交通騒音の「面的評価」とは、主要幹線道路から50mの区域に位置する住居等における騒音曝露状況を評価することである。従来は道路端の測定点での実測値によって騒音が評価されていたが、「騒音に係る環境基準」の改定(H11.4施行)に対応し、一定範囲内での騒音レベルが環境基準を超過する割合等によって評価する方法に改められた。したがって、前者の評価方法を「点的評価」と呼ぶのに対比して、後者を「面的評価」と呼ぶ。
騒音規制法第18条では、「都道府県知事は、自動車騒音の状況を常時監視し、その結果を環境大臣に報告しなければならない」とされており、「面的評価」では、自動車交通騒音の予測モデルを用いて、沿道に位置する住居等の等価騒音レベルを推計し、評価区間の環境基準達成率を算出する。