HOME > 事業内容 > マルポール条約附属書Ⅴに基づく貨物残留物の海洋環境有害性に関する裾切り値の決定と判定指針の作成
最終更新日:平成30年6月5日
国土交通省
マルポール条約附属書Ⅴに基づく「海洋環境に有害な(Harmful to the Marine Environment;以下「HME」という。)物質」に関する規制実施に向けて、平成28年度に実施した調査の結果を踏まえ、合成高分子等に関する含有率の裾切り値について検討するとともに、事業者が貨物のHME判定を行うための指針(案)を作成した。
合成高分子等(主にプラスチック)に関する文献調査を行った結果、海洋へのこれらの物質の排出は可能な限り低減することが望ましいと考えられたため、少なくとも現時点では裾切り値は設定しないこととし、合成高分子等については、非意図的な混入も含めて可能な限り少なくすべきであると結論づけた。
文献調査は、最新の主要な文献の概要を広く調査した後、国内外における最新の知見が取りまとめられていると考えられる文献(例:GESAMPレポート)を抽出し、その内容を整理した。
取りまとめに当たってはIMOでの考え方や最新の科学的知見を踏まえた上で、規制実施を円滑に行うことも視野に入れて、実行可能性を考慮した表現で整理を行った。
「UN-GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)」における有害性の分類基準等を踏まえ、事業者がHMEに該当するか否かを判定するための指針(案)を作成した。指針(案)は、化学物質の有害性の判定等に係る専門的な知見を有していない事業者向けに、フローチャートや貨物のSDSに基づく判定例を用いて分かりやすく取りまとめた。
【SDSに基づくHME判定フローのイメージ】
なお、上記図における水生環境有害性や発がん性等に関するHME基準は、以下のとおりである。
【HME判定基準】
有害性の項目 | HMEに該当する GHS区分 |
|
① | 水生環境有害性(急性毒性) | 1 |
② | 水生環境有害性(慢性毒性) | 1又は2 |
③ | 発がん性※ | 1A又は1B |
④ | 生殖細胞変異原性※ | 1A又は1B |
⑤ | 生殖毒性※ | 1A又は1B |
⑥ | 特定標的臓器毒性(反復ばく露)※ | 1 |
⑦ | 合成高分子(プラスチック) | − |
※急速に分解せず、高い生物蓄積性を有するものであって、経口又は経皮摂取により有害性が生じる(又は摂取経路が特定されていない)ものに限る。