HOME > 事業内容 > 平成28年度水質環境基準健康項目設定等基礎調査業務
最終更新日:平成29年6月26日
環境省
水質環境基準健康項目等の位置づけの見直しが効率的に実施できるよう、定期的な再評価の仕組みについて検討を行った。
また、農薬に関しては、過年度業務に引き続き農薬の位置づけ等に関する作業部会を設け、曝露可能性に関して他の化学物質と異なる特徴があることを踏まえ、農薬に特化したモニタリングの実施の必要性など、農薬としての合理的な管理手法のあり方について検討を行った。
さらに、要監視項目や要調査項目についても過年度から指摘されていた情報収集のあり方等に係る問題について検討を行った。
過年度業務を踏まえ、国内外における近年の化学物質規制の動向について調査を行い、今後の水質環境基準健康項目等の追加・見直しに係る検討の俎上に載せる候補物質を抽出し、基礎的な情報を整理した。
【表 情報の収集を行った物質およびその理由】
物質名 | 検討の俎上に載せた理由 |
過塩素酸塩 | WHO飲料水水質ガイドライン第4版第1次追補において新たにガイドライン値が設定されたため |
ヘキサブロモシクロドデカン (HBCD) |
平成26年5月に、化審法の第一種特定化学物質に指定されたため |
ポリ塩化ナフタレン |
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ペンタクロロフェノール又はその塩若しくはエステル |
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ヘキサクロロブタジエン (HCBD) |
COP7にてPOPs条約の附属書Aに追加されたため |
平成28年度業務では、主に水質環境基準健康項目等の位置づけ及び基準値の見直しを中心に、定期的な再評価を行う枠組みについて検討を行った。検討の結果、水質環境基準健康項目に係る再評価の枠組みについては概ね合意が得られた。また、スクリーニング評価により抽出された見直しの候補物質について、次年度以降に詳細な評価を行うことを視野に入れ今後の検討方針を整理した。
過年度業務に引き続き農薬の位置づけ等に関する作業部会を設け、水環境を経由した農薬の管理方法について検討を行った。結果として、農薬の管理の枠組みについては「農薬類」として要監視項目に位置づけ、優先的に管理を行うべき物質リストを別途示す方向性が明確になった(図2)。また、農薬の常時監視におけるサンプリング方法について、現在採用されている「グラブサンプリング」を単独で用いた管理には限界があると考えられるため、新たに「パッシブサンプリング」をスクリーニング手法として採用することを視野に入れ、次年度以降の検討の進め方について取りまとめた(図 3)。
【図2 要監視項目リストと「農薬に該当する項目リスト」の関係】
【図3 測定方法別の濃度測定結果のイメージ】
過去の答申の内容や水質測定結果等を整理した上で、要監視項目の水質測定に係る問題を明確にすることを目的として、測定実施の当事者である自治体に対するアンケート調査を実施した。アンケート調査の結果、要監視項目の水質測定については、地域の実情に応じて調査の効率化が図られている場合が少なからずあることが確認された。また、多くの項目について既に一定の知見が得られている可能性があることが把握された。調査結果を踏まえ、要監視項目の定義を改める必要性や、知見が十分に集積された項目の扱いについて、今後の検討方針を整理した。
<アンケート調査の設問内容の例>
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過年度業務における検討結果を踏まえ、データ収集に係る「計画」を具体化することを目標に検討を行い、一斉分析手法の導入に向けた検討方針を整理するとともに、当面の水質調査計画の考え方及び調査方針について取りまとめた。
【図4 一斉分析手法の導入を前提とした要調査項目に関する情報収集のイメージ】
* 表の出典:平成28年度水質環境基準健康項目等基礎調査業務報告書 (平成29年3月、株式会社環境計画研究所)