HOME > 事業内容 > 平成28年度揮発性有機化合物(VOC)排出インベントリ作成等に関する調査業務
最終更新日:平成29年6月26日
環境省
本業務では、大気汚染防止法に基づく揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制対策の進捗状況の把握を目的として、VOC含有製品の出荷量やVOC含有率、排出状況等を文献調査やアンケート調査等により把握するとともに、製品使用等に伴い排出されるVOCを推計し、発生源品目別・業種別・物質別・都道府県別等の整理を行った。
平成28年度業務においては、平成27年度に国内の主な固定発生源から排出されたVOCの排出量を推計すると共に、これまでの検討において優先課題とされた「燃料(蒸発ガス)」及び「成分不明のVOC排出量」に係る課題を中心に調査・検討を行った。
平成28年度業務では、平成27年度に国内の主な固定発生源から排出されたVOCの排出量を推計した。その結果、全国のVOC排出量は68万t/年であり、平成12年度の排出量141万t/年に対する削減率は約52%であった。
揮発性有機化合物(VOC)排出インベントリにおける燃料(蒸発ガス)のうち、給油所からのVOC排出量(燃料小売業)については、業界におけるガソリンの蒸気圧を下げる取り組みを反映できない等、推計方法に課題があったため、平成27年度より見直しを検討してきた。
平成27年度調査においては、アメリカ合衆国環境保護庁(US-EPA)において開発された燃料給油時のVOC排出量(給油ロス)に関する予測式であるMOVES2010を用いて推計を実施したが、MOVES 2010が米国車における実験結果から算出した予測式であり、日本車における実験結果から算出した推計式の適用についても検討すべきとされたこと等を踏まえ、平成28年度調査では以下の点について見直しを行った。また、蒸気圧を下げる取り組みの効果は地下タンクへの燃料受入時(受入ロス)に対しても影響を与えるため、これらについても見直しを行った。
<見直しの内容> |
今年度の調査では国内に流通するクリーニングソルベント(7製品)の成分分析を行い、それらの結果を国内シェアに応じて加重平均することでクリーニングソルベントの平均組成を算出した。
今年度に新たに成分分析を行ったことで、平成18年に東京都が実施した石油系混合溶剤の成分分析結果(以下、「東京都調査」という)と合せて、調査時期が異なる2つの平均組成をインベントリにおける成分不明のVOC排出量の細分化に使用することが可能となったため、過年度分の排出量についても遡及して修正した。また、分析結果を適用することで、クリーニングソルベントを使用する主な発生源品目である「ドライクリーニング溶剤(コード:332)」の不明分は48.9 %から34.5 %に減少した(平成26年度排出量)。
なお、今後、成分分析を行う予定の溶剤(ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、印刷用高沸点溶剤、ゴム揮発油)については、新たな成分分析の結果が得られるまでは東京都調査の平均組成を用いて全期間の成分不明の排出量の細分化することとした。