HOME > 事業内容 > 有害金属等の排出実態をふまえたPRTR届出排出量の検証業務
最終更新日:平成28年7月13日
国立研究開発法人国立環境研究所
水銀、鉛、カドミウム等の有害金属類に係る排出インベントリの継続的な作成等の一環として、一般廃棄物焼却施設および産業廃棄物焼却施設における有害金属の排出実態について情報の収集・整理を行った。また、一般廃棄物焼却施設の大気への水銀の排出を対象に、今後PRTRで届出排出量を算出することになった場合の定量下限値の設定や定量下限値未満のデータの扱い方が届出排出量の不確実性に与える影響に関する分析を行った。
一般廃棄物焼却施設、および産業廃棄物焼却施設からの有害金属の排出実態について、各種報告書で報告されているデータの収集・整理を行った。対象とした物質および媒体は以下のとおりである。
対象物質 | 亜鉛、アンチモン、カドミウム、クロム(全クロム、及び六価クロム)、水銀、鉛、ニッケル、マンガン、モリブデン、銅 |
対象媒体 | 排ガス(処理前・後)、焼却灰、飛灰、溶融飛灰、溶融スラグ、溶融メタル、排水(処理前・後)、等 |
平成27年3月10日に閣議決定された「水銀による環境の汚染の防止に関する法律案及び大気汚染防止法の一部を改正する法律案」のうち、大気汚染防止法の一部を改正する法律案については、水俣条約が効力を生ずる日から2年以内に政令で定める日から施行することとされている。これに伴って水俣条約における大気排出の規制対象施設である廃棄物焼却施設がPRTRの特別要件施設に追加された場合、各施設では排ガスの水銀濃度と排ガス流量を基に水銀の届出排出量を算出するものと考えられる。
そこで一般廃棄物焼却施設を対象とし、前項の「有害金属の排出実態に関する情報の収集・整理」で整理した排ガスの水銀濃度のデータを用いて、モンテカルロシミュレーションを行い、真の水銀排出量の全国合計値の発生確率分布を作成した。
そして、定量下限値を設定した場合の水銀排出量(届出排出量の試算値)の全国合計値の発生確率分布を作成して、真の水銀排出量の全国合計値の発生確率分布と比較することで届出排出量の不確実性を分析した。
【届出排出量の発生確率分布のイメージ】
注:定量下限値を0.005mg/m3N、定量下限値未満の値を「定量下限値の1/2」とみなした場合
*出典:「有害金属等の排出実態をふまえたPRTR届出排出量の検証業務報告書
(平成28年2月、株式会社環境計画研究所)」より作成。