HOME > 事業内容 > 平成26年度災害時の発電機稼働に伴う大気環境影響調査等業務
最終更新日:平成27年5月25日
環境省
平成25 年6月に閣議決定された、「規制改革実施計画」における要望に従い、一部の排出抑制対策技術が実施できない状況下において、災害時に発電機が稼働した場合の大気環境への影響について調査した。
平成25 年6月に閣議決定された、「規制改革実施計画」において、常用ガスタービン、ガス機関、ディーゼル機関発電機(以下、これらの総称を「発電機」という。)の停電・災害等非常時における排出規制の緩和について検討することが必要とされた。
本業務では、この背景を踏まえ、災害時に発電機が稼働した場合の大気環境への影響について、調査した。
「規制改革実施計画」 (平成25年6月14日 閣議決定) 13ページ抜粋 【事項名】 【規制改革の内容】 【実施時期】平成25年度検討開始、平成26年度結論、結論を得次第措置 |
本業務では、自動車NOx・PM法が適用されている地域(※)を対象として、ガスタービン、ディーゼル機関(エンジン)、ガス機関(エンジン)が、大規模な災害に伴う停電時に稼働した場合の大気環境への影響評価を行った。
※ 適用地域は、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、三重県、大阪府、兵庫県の8都府県
本業務で調査の対象とした発電機の発電機種類別設置数は 図1 に示すとおりであり、非常用発電機は常用発電機と比べ数倍の設置数があった。また、非常用発電機のなかではディーゼル機関の設置数が最も多かった。災害時においても中圧導管からの都市ガス供給やガス燃料から液体燃料へ切り替えが行われる機種もあることから、主要燃料を都市ガスとする非常用ガスタービンも一定数普及している状況にあった。
【図1 本業務で調査の対象とした発電機の発電機種類別設置数】
複数のメーカーへのヒアリング調査等によって各種非公表データ等を収集すると共に、以下の点を踏まえ、災害時の稼働条件を設定した。
● 停電時には、窒素酸化物の排出抑制技術のうち、水噴射及び希薄燃焼は実施されない。
● 窒素酸化物、硫黄酸化物、浮遊粒子状物質の排出量は、発電機の負荷率に応じて
変動する。
● 大規模な災害による停電、断水、都市ガスの供給停止率の影響により、一部の発電機は
稼働しない(大規模地震発生時の断水の被害想定の例は、 図 2 のとおり)。
● 常用発電機については、系統電力が途絶した際に自立的に起動する機能(ブラックアウト
スタート機能)を備えた発電機は全体の半分程度であり、それ以外の常用発電機は停電
時に稼働しない。
【図2 大規模地震発生時の断水の被害想定の例(東京都)(※)】
※ 「東京都の首都直下地震等による東京都の被害想定」 の公表データより作成
本調査では、排出抑制技術による排出量の低減効果の大きい窒素酸化物を中心として、災害時に(平常時の排出基準等を超えるレベルの排出を伴って)発電機が稼働した場合の大気環境への影響を予測した。
非常用発電機の設置数は常用発電機の5倍以上と多いことから、常用発電機の窒素酸化物排出抑制対策(水噴射又は希薄燃焼)が実施されない影響よりも、既存の非常用発電機による大気環境への影響が大きい結果となった。また、その予測結果は、本調査において予測結果と比較するための値として設定した「二酸化窒素の短期曝露に係る指針(0.1〜0.2ppm)」を満足する結果となった。